ここに一人の高校生がいる。
少年の名は久保翔太。
今年度に高校を卒業予定の彼は、七歳年上の姉と二人暮らしをしている。
両親が海外に赴任している為だ。
そんな翔太は、姉とよく一緒に居るのも目撃されており、近所でも有名な仲の良い姉弟。
しかし…近所の評判とは別に、この二人は少々普通ではない関係なようだ。
「翔太、脱ぎなさい。 そしてあたしに抱かれなさい」
「ま、またかよ!? ミカ姉、いい加減にしてくれよ!!」
「弟のくせして、拒否権を求める気?」
ミカ姉と呼ばれたのは、翔太の姉の美香子。
彼女は普通ではなかった。
「あら? 身体はやる気満々ね」
「ま、まって!! それは…」
翔太は逃げられない。
いくら抵抗しても、最後は身体を重ねてしまう。
美香子の言う事には、逆らえないのだ。
ここまで言えば殆どの方が理解していると思うが、あえて言っておこう。
翔太の姉の美香子は…重度のブラコンだったりする。
「大丈夫、何時もと同じ、身体を委ねなさい」
「……はい」
この物語はブラコン街道を驀進している姉と、徐々に洗脳…もとい感化されていく弟の物語。
「素直な子は大好きよ。 翔太も…翔太のコレもね」
ちなみに、二人は普通に血が繋がっていたりする。
〜姉として、女として〜
少し度の行き過ぎた姉弟のスキンシップが強行された翌日、翔太は学校の自分の机で眠たそうにしていた。
どうやら、姉弟のスキンシップは明け方まで行われていたようだ。
「翔太、眠たそうだな?」
「ああ…」
翔太に話し掛けたのは、小学生の頃からずっと同じクラスの木下和也。
顔は二枚目とは言いがたいが、野球部で一年からレギュラーに選ばれており、一部にコアなファンがいるらしい。
「昨日の夜、電話したけど、出なかったな?」
「昨日?」
(そういや、履歴に残ってたな…)
「……少し忙しかったんだ」
その答えに今度は女子生徒が質問をする。
「何してたの?」
彼女の名前は、木下瞳。
和也とは双子の兄妹で、和也と同じく翔太の腐れ縁。
明るく元気な瞳は、男女共に人気が高い。
(言えるか、そんな事)
あえて言うなら、ナニをしていた訳だが。
それを口に出すほど、翔太は愚かではない。
「……ミカ姉とゲームしてた」
「マジかよ!? 二人っきりでゲーム…羨ましすぎるぜ」
「そうか? ミカ姉の相手は、体力がもたない」
微妙に実感がこもっていたりする。
「何言ってるんだ!! あの引き締ったボディ!! 女神の様な笑顔!! そして、天使の様な性格!! どれをとっても最高の女性!! 共に時間を過ごせるだけでも光栄に思わないか!!」
「……どこの宗教に入ってるんだ。 お前は」
「和也、気持ち悪い…」
目が血走っている和也に、冷たい目線を送る翔太と瞳。
だが、その翔太に冷たい目線を送っている一人の女性。
「随分な言い方ね?」
「……」
翔太がその声の主の方を見る。
そこには…美香子が素敵な笑みを浮べながら立っていた。
「……なぜここにいる?」
「担任のあたしが自分の教室に来るのが問題ある?」
担任。
そう、美香子は翔太の先生でもあるのだ。
ちなみに科目は数学であり……保険体育ではない、断じて。
「いや、そーゆー訳じゃ…」
いやーな汗が翔太の額から流れ落ちる。
表面的には素敵な笑顔の美香子だが、翔太限定でもの凄い威圧感を放出している。
「翔太が忘れた、私の手作り弁当を持って来てあげたの」
この美香子の発言がいけなかった。
当然クラスメイトに聞かれる事になり…。
「お、久保は愛妻弁当か」
「げ!! マジかよ。 羨ましい…」
「久保君いいなー。 私も美香子先生のお弁当食べたい」
こうなる訳だ。
これに対して翔太は真っ赤になる。
怒っているのか、照れているのか…それとも両方か。
「頼むから、学校では『先生』でいてくれよ…」
これは翔太が何時も言っている言葉。
既にこの姉弟の言動は、このクラスの名物になっている。
だが、誰もがこの二人の事を好意的にみている訳ではない。
その人物は仲の良いこの姉弟を、今日も睨んでいる。
とても冷たい…嫉妬の眼差しで。
「待ってました」
誰も居ない校舎裏。
放課後のその場所は、いつも以上に人気がなかった。
たった二人を除いて。
「一体どうしたの?」
二人の中、一人は美香子。
もう一人は…。
「美香子さんに言いたい事があるんです」
木下瞳。
だが、何時もの瞳ではない。
何時もの…明るく、笑顔を絶やさない彼女ではない。
まるで…汚いモノでも見る様に…美香子を睨んでいる。
「美香子さん…あなたは翔太君に近すぎます」
「どうしたの、いきなり?」
突然の瞳の言葉に少し驚いた美香子。
それはそうだ、美香子と瞳は翔太の繋がりで、かなり昔から知っている仲。
美香子自身は…瞳に嫌われているなんて、一度も思ってなかった。
(まいったな)
でも、今の瞳は明らかに美香子を嫌っている。
「担任としての立場を忘れてませんか?」
「そんな事ないわよ。 あたしはあたしの出来る事は精一杯頑張っているつもり」
「そんな事を言ってるのではありません。 休日によく美香子さんと翔太君が一緒に外出してるのが目撃されてます。 問題はそれです」
「休日に何をしようがあたしの勝手でしょう? あたしは担任の前に、翔太の姉よ」
確かに二人はよく一緒に出かけている。
だが、自分と翔太が一緒に居るのは当然だと主張する美香子。
翔太とは姉弟なんだから…と。
「姉、ですか。 美香子さんの翔太君に対する感情は弟に対する感情ですか?」
「え?」
「少なくとも私には…美香子さんは翔太君に弟以上の感情を抱いている様に見える」
美香子を見る瞳の視線がさらに険しくなる。
対する美香子の目付きも険しくなる。
「何が言いたいの?」
「女ではなく、姉として翔太君と接して下さい。 自分で言いましたよね? 『あたしは翔太の姉』だって」
「え、あっ…」
美香子は…言ってしまった。
翔太との男女関係を否定する言葉を。
瞳は勝ち誇った様に言葉を続ける。
「私…翔太君に告白するつもりです。 明日、この場所に翔太君を呼んでくれませんか? 弟の幸せを願うのも、姉としては当然ですよね?」
そう言うと、美香子の答えも待たずに背を向けて去っていく瞳。
美香子は瞳の姿が見えなくなっても、ずっとその場に立ち尽くしていた。
時間は流れ、翌日の学校。
翔太は授業も聞かず、考え事をしていた。
(ミカ姉…どうしたんだろ…)
昨晩、美香子の様子がおかしい事に気がついた翔太は、美香子に何かあったのかと尋ねた。
美香子は、逆に翔太に尋ねた。
『翔太、あたしとの関係を清算したいと思ってる?』
翔太は困った、答えられなかった。
普通なっていのだ。
姉弟で身を重ねることが。
最初は嫌々だったかもしれない。
なら、今は?
姉と身体を重ねる事は嫌なのか?
翔太は分からない。
しばらくしてから、美香子は一言。
『明日、校舎裏に行きなさい』
昨晩のこの会話以来、二人は一言も喋っていない。
今朝も美香子は、一人で先に学校に行った。
普段は…二人で行っているのに。
(俺、何かしたか?)
久保翔太18歳、悩み多き年頃である。
「翔太君…」
「瞳? どうして瞳がここに居るんだ?」
約束の放課後…翔太を出迎えたのは、美香子ではなく瞳だった。
翔太は困惑する。
なぜここに瞳がいるのか?
美香子はどうしたのか?
「瞳もミカ姉に呼ばれたのか?」
翔太は瞳も美香子に呼ばれたと推測した。
瞳はというと、翔太の口から美香子の名が出た途端に少し顔をしかめた。
「違う、美香子さんは来ないよ。 ここに呼んだのは私」
「え? でも俺はミカ姉に「美香子さんの事はどうでもいいの!!」…え?」
瞳は翔太の言葉をさえぎった。
これから告白しようというのに、美香子の名前ばかり出る事が許せなかったのだ。
「いいから…今は私の話を聞いて。 私の事を見て」
「……わかった」
翔太は…瞳の雰囲気がいつもと違う事に気がついたのだろう。
瞳は深呼吸してから、翔太の顔をじっと見つめる。
「私、翔太君の事が好きです。 この世に居る誰よりも好き」
恥ずかしい程のストレートな告白。
だが瞳には照れなどなく、そこに感じられるのは決意のみだった。
「お、俺は…」
「今は私の事、好きじゃなくてもいい。 絶対、私に惚れさせるから…だから、私と付き合って」
突然の告白だった。
少なくとも、翔太は予想していなかった。
驚き、返事も出来ない。
「それとも…好きな人居るの?」
「っ!!」
その言葉に…頭に美香子の顔が浮かぶ。
このことは、翔太自身が一番驚いたかもしれない。
「やっぱり居るのか。 なら、今の告白はなし。 その人を想いながら付き合える程、私は安い女じゃないしね」
「瞳…」
「好きな人が居ないなら…真っ白な翔太君の気持ちを私色に染めれる。 でも、翔太君の気持ちはその人で染まっている」
「………」
翔太は黙ってしまう。
何も言う事が出来ない。
今、瞳に告白されて解ったのだ。
自分の心は…美香子に染められているという事に。
「その人のことが好きなら、今すぐ告白しに行きなさい。 待ってる女性は不安なんだよ?」
「で、でも…」
「相手が弟なら、特に心配だと思うな」
「べ、別にミカ姉は関係なっ」
焦る翔太を見て、瞳はくすくすと笑った。
「私が気がついてないと思ってた? 二人のこと、前から怪しいと思ってたんだ。 昨日、美香子さんを呼んではっぱをかけたんだけどね……予想通りの反応で面白かったよ?」
「予想通り?」
「うん、美香子さん凄く焦ってた。 見てて面白かったよ? あ、翔太君から謝っておいてくれるかな?」
瞳は昨日の美香子に向けた彼女とはまるで違う、普段の明るい彼女に戻っていた。
昨日の冷たい目線の瞳、あれは演技なのだろうか?
それとも…。
「瞳…ありがとう」
「いいから行きなよ。 美香子さん、待ってると思うよ」
「ああ」
翔太はゆっくり後ろを向き、そして走り出す。
美香子との思い出がつまった我が家へと。
「美香子さんはまだ仕事してるよ、ばーか」
瞳は涙を流しながら、笑った。
「でも、一番のバカは私かな? 今時恋のキューピットなんて、流行らないよね。 本当は…美香子さんの代わりでもいいのに…翔太君と居れれば、よかったのに」
そこまで言うと、瞳は大声を上げて泣き始めた。
まるで、幼い子供のように。
それからしばらくして、瞳は裏庭から去って行った。
最後に、自らに言葉を残して。
「私の、ばーか」
全速で家まで帰った翔太だったが、美香子は当然仕事中。
結局、美香子が帰って来るまで待つことになった。
待つこと数時間…美香子はやっと帰ってきた。
現在、美香子と翔太はソファーに向う会う形で座っている。
「瞳に告白されたんでしょ? OKしたの?」
美香子の第一声はこれだった。
「振られた。 自分以外に好きな人が居る人は、付き合えないってさ」
「えっ…! ……そっか、好きな娘、居るんだ…」
翔太の言葉に驚き、押し黙る美香子。
そして顔を上げ、翔太の顔をじっと見る。
「ならさ、その娘に告白しなよ。 私のこと、なかったって思っていいから。 翔太が幸せになるなら、そっちの方が…いい」
美香子は笑っていた。
他ならぬ、翔太の幸せを考えて笑っていた。
(こんなのって…卑怯だ)
翔太はそう感じた。
普段勝気で、傲慢で…圧倒的な力の差で君臨している美香子が、翔太の幸せを考えて…自らを犠牲にしようとしている。
「ミカ姉のこと、なかった事になんて出来ない」
「で、でも、翔太は…好きな娘いるんでしょ?」
美香子の表情は、拾われた子猫のように見える。
それだけ美香子は…翔太に依存しているのだ。
「いるよ。 好きなヒト」
「な、なら!!」
「俺の好きなヒトは…自分勝手で、後先の事なんて何も考えてなくて…」
ソファーから立ち上がり、ゆっくり美香子に近づく翔太。
「それでも、最後には弟の事を第一に考えてくれる」
「しょ…翔太?」
「ミカ姉…俺の好きなヒトは…」
翔太はこれ以上何も言わなかった。
だが翔太は…美香子の身体を求めた。
初めて自分から求めた美香子の身体、それが翔太の答えだった。
「行くわよ、翔太」
「ちょ、ちょっと待ってくれ」
「早くしなさい。 私を待たすなんて、10年早いわ」
翌日、二人は相変わらずの朝を迎えた。
普段と変わらない朝の光景。
「なんだよ…昨日は…あんなに…」
「何か…言った?」
「いえ、何も発言しておりません」
睨まれて、即座に保身に走る翔太。
二人はそのまま目線をあわせて…。
「ふふふ!!」
「あははは!!」
笑った。
理由はわからない、ただ笑った。
「ふふ、さて行くわよ」
「ああ」
そして、二人は並んで歩きだす。
手を繋ごうとする翔太に、美香子は小さく笑いながら翔太を誘惑する。
「どうせなら、腕組まない?」
手を繋ごうとしていた翔太の手を取り、腕を組む美香子。
その顔は少し赤くなっていた。
「近所の人が見てるぞ?」
翔太の言葉に、少し黙って感がえる美香子。
そして、美香子の結論に至る。
「……見せつけるっていうのも、アリね」
「マジで?」
「ふふ、翔太…」
驚いている翔太の顔を見て、その唇に自らの唇を合わせる美香子。
それは、たった数秒のキスだった。
「ミカ姉…さすがに人前でこれは…」
「いや、だった?」
心配そうに、尋ねる美香子。
だが、翔太の答えは決まっていた。
「いや…嬉しいよ、ミカ姉」
後書きっぽい雑談
常連をしていた中古ゲーム屋が、エロゲショップに変わっていました。
私は喜ぶべきですか? 凹むべきですか?
こんにちは、gu-guです(何
さて、初オリジナル&初年上ヒロインです。
結構否定的な感想が来そうだなーと、後書き書きながら考えてます。
近親モノで一番重要なのは「血」の問題、それを完璧にスルーした訳ですからね。
ぶっちゃけ、あえて書かなかったんです、この問題。
実生活では、どんな事があったとしても近親なんて許される訳ないですよね?
だからダラダラと問題解決の方法を書いても、ピンとこないんですよ、あくまでも私は…ですが。
ならもう、いけない事してるってだけでいいじゃん?
周りにバレたり、子供の問題がでてくれば、その時どーにかすればいい。
後先の事なんて考えていたら、姉弟でHなんて出来ないし、恋愛すら出来ないと思うんです。
だから、こんな形にした訳ですが…ああ、読者様の反応が怖い(汗
しかし…実姉がいながら、この小説書いてる私って_| ̄|○
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