水瀬秋子。彼女は相沢祐一の叔母である。その娘、水瀬名雪は相沢祐一にとって従妹だ。

相沢祐一。彼は水瀬秋子の甥である。娘にとっては、大好き……いや愛する従兄だ。


日本の法律に、『三親等以上の人間は結婚してはならない』と言うものがある。即ち、兄弟や親、そして今先程

書いた甥と叔母等である。



では、何故結婚してはならないのか? 血の繋がりがある者同士が結婚し、そういった行為をし子供が出来た

時、その子供が何らかの障害を負ってしまうからであろうか。



実際、日本の法律などいい加減な物が多々ある。戦争放棄等、代表的な物だ。今の日本国憲法は、第二次世

界大戦に日本が敗北した時に当時アメリカ軍のトップであったマッカーサー元帥が制定したものだ。だと言うの

に、アルカイダやらイラク紛争、世界の問題に日本が乗り出し、遂には自衛隊派遣にまで乗り出す始末。○泉

は一体何を考えているのか。甚だ、疑問である。



……話を元に戻そう。

その、『三親等以下略』の法律を守るとすると、極端に言えばその立場にある者は好き合ってならないと言う

事になる。

しかし、人の感情など法律でどうこう出来る訳がない。それを証明するのが、相沢祐一と水瀬秋子両名である。















甥と叔母という関係















「はぁ……」


日曜日のお昼。私はダイニングテーブルで頬杖をつきながら溜息をついています。自分でもだらしないとは思

っているのですが、こればっかりはどうしようもありません。



「……祐一さん」



そう。私の溜息の原因は、甥である相沢祐一さんにあるのです。いえ、別に祐一さんが鬼畜だとか、私を○○

○にして○○したりとか、名雪と一緒に○○○されたりといった事はされていません。私としては望む所なんで

すが……。


「はふぅ……」


熱っぽい溜息を吐き出す。あぁ、祐一さん……。その顔、その眉、その眼、その唇、その体、その手、その脚、

その髪の毛一本に至るまで素敵です。勿論、名前も素敵です。


「姉さん、いい仕事し過ぎです」


姉さんはいつもそうです。私をからかう為ならどんな事もする人。私が祐一さんと結婚出来ないのを知って生

んだのではないでしょうね? もしかして、祐一さんを生んだのも計算通りとか言いませんよね? だとすれ

ば私は姉さんを恨みます。何と言おうと恨みます。だって、祐一さんあんなに格好良いんですよ!? 女性な

らば好きになるのは当然でしょう!

それに何ですか! 『三親等以上の者は結婚してはならない』って! 私の祐一さんへの愛を国家法律レベ

ルで否定するつもりですか! そんなの物で私の祐一さんへの愛と萌えは失わせられませんよ! そんな日

本なんて、私の作ったジャムで滅ぼしてあげます! 生憎、この間Ver.4.5が完成したところです。日本を実験

体にするのも悪くないですね……。世の中の政治家なんて利己主義の塊なんですから、いいお仕置きです。

戦争放棄を守らない○泉総理なんてポポイのポイです!


……ちょっと落ち着きましょう。はい、深呼吸。すー、はー、すー、はー。ふぅ、落ち着きました。興奮しすぎた

ようですね。でも、本当にしちゃいましょうか? そして私が日本の頂点に立って法律を変えてあげます。『三

親等以上の者も結婚可』。魅力的ですね。祐一さんもそう思うでしょう?


「でも私1人では無理ですね……」


やっぱり無理でしょうか。流石に日本全てを敵に回して生き残れるとは思いません。諦めるしかないんでしょ

うか……。


「祐一さん……」


私の目の前には祐一さんの姿が。あぁ、どうせなら妄想の中だけでもナニしてもいいですよね……。別にナニ

がカタカナなのに意味はありません。ないったら無いんですっ。


「秋子さん……」


あふ、その凛々しい声が私の身体を熱くさせます。祐一さんがその滑らかな手で、私の着ている服を脱がして、

私の胸を……。


「秋子さん!」


「ひゃいっ!?」


気が付けば、目の前には本物の祐一さんの姿が。ま、まさか……、今さっき私が見た祐一さんは……

・ ・ ・
本物の祐一さん……?


「あ、あははははははははははは………!」


お、おしまいです。祐一さんに見られてしまいました……。あ、あはははは……!


「あ、秋子さん!? どうしたんですか!?」


祐一さんの慌てた表情を見ながら、私はゆっくりと意識を手放した……。
















「はぁ……」


自室で溜息をつく。らしくないと思うなかれ。俺だってそう思ってるんだから。



「……腹減った」



ぐぅ。

言葉に表した瞬間、腹の虫が鳴った。むぅ、やっぱり昼飯食い損ねたから辛いか……。


「やっぱり、秋子さんに何か作ってもらうかな」


でも、流石に悪いしな〜……。俺だけでなく、あゆや真琴も養ってるから迷惑掛けるワケにもいかないし。

だけど、この空腹は誤魔化せそうにない。ついでに言うと金もない。仕送りがまだ来てないのだ。


「水でも飲んで夕飯まで持たせるか……?」


もしくは自分で作るか? ……そうするか。そうと決まれば、膳は急げだ。この空腹で俺が倒れない内に作ろ

う。部屋を出て、早歩きで階段を下りる。


ガチャ


「……秋子さん??」


リビングのドアを開けると、そこは別世界……なわけなく、ダイニングテーブルの上で頬杖をついた秋子さん

がいた。ただ、その表情が酷く艶かしい。


「……」


顔が熱くなるのが分かる。多分、第3者の眼から見たら俺の顔を真っ赤だろう。仕方ない。秋子さんが綺麗

で可愛すぎるのがいけないんだ。名雪の母親とは思えんほどの若さ、料理の腕も抜群。ちなみに、俺の嫁の

最低基準は俺が心底美味いと感じられる料理を作る事だ。秋子さんは俺の嫁に合格……てか、寧ろなってく

れと叫びたい。いやマジで。


「……いかん。空腹で頭がオーバーヒート気味だ」


俺と秋子さんは甥と叔母だ。日本の法律で結婚出来ないと書かれているではないか。……では、結婚しなく

て付き合うだけならば良いのでは? 第一、何で叔母と甥が結婚したら駄目なんだ? 俺の燃え盛る秋子さ

んへの萌えを法律で束縛する気かコノヤロウ。


「萌えって何だ、萌えって……」


本格的に空腹が頭にきてるみたいだ。常日頃から隠してきてる本音が飛び出してくる。


「尚悪いわ!」


自分でボケて、自分で突っ込む。……やっぱり俺にツッコミは合わんな。やはり北川か香里だ。


「……祐一さん」

「はい?」


秋子さんに呼ばれて、俺は返事をする。しかし、肝心の秋子さんは呆けている。ただ、その頬が赤く染まっ

ているのは頂けません。何ですか? 誘ってるんですか? 食べていいんですか? 寧ろ食べますよ?


「落ち着け」


ガツン、と頭を殴る。よし、少しは落ち着いたぞ。まったく、今日の俺はどうかしてるぞ。これも空腹の所為

か?


「さて……」


さっきから呆けてる秋子さんをどうにかしないとな。やっぱ、最初は呼びかけてみるか?


「秋子さん……」


びくっ、と体が震える。気付いたかな? いや、まだみたいだ。何やら、さらに艶かしい表情になって俺の

方がヤヴァイ。いつの間にか握り締められた手に汗がついている。すぅ、と大きく息を吸い込み……


「秋子さん!」


思いっきり叫んだ。


「ひゃいっ!?」


面白可笑しい声を上げて、秋子さんが我に返る。そしてこちらを呆然と見つめる。次の瞬間……


「あ、あははははははははははは………!」


いきなり笑い出した。しかも普通の笑いではなく、かなり怖い笑いだ。


「あ、秋子さん!? どうしたんですか!?」


俺の呼び掛けにも秋子さんは答える事なく、そのまま気を失ってしまった。


「……俺のどうせいと?」


困惑する。とにかく、いつまでもこうしてはいられないので、秋子さんを抱える。勿論、王道のお姫様抱っ

こさ。結構余裕あるな、俺。

……しかし、こうしてると秋子さんの良い匂いとか体の柔らかさとか体勢とか色々とやばいんだが……。い

くら俺が紳士でも、一応男だし。世の中の男共と違わず『漢の夜のお供』もある訳で……。う、何か下半身

にパワーが漲ってくる。


「くっ、煩悩退散煩悩退散、喝」


必死で頭の中のピンク色の風景を消し去り、俺は秋子さんを部屋へと運ぶ。両手が塞がっているので、脚で

扉を開く。


――そこは、現代の桃源郷、最後の楽園でした。


ぬいぐるみ。

その一言に尽きる。そう、ぬいぐるみなのだ。これは既に部屋ではなく、ぬいぐるみが置いていた場所に部

屋を持ってきたという感じだ。綺麗に片付いているが、小さなぬいぐるみ達が俺達を見つめていた。種類は

数え切れない。動物の他に、人型のもある。


「秋子さんって、ぬいぐるみ好きだったんだな」


意外と言えば意外だが、似合ってはいる。寧ろイイ。ぬいぐるみ達が鎮座するベッドに秋子さんを横たえる。


「……」


……白雪姫? 眠れる森の美女? なんて言っていいのか分からない。ただ、其処に横たわる秋子さんは

途方もなく美しかった。1つだけ浮かんだ。聖母。この表現がぴったりだと思う。全ての者の母。名雪と、真

琴と、あゆと、そしてある意味俺の母親である秋子さん。でも、俺はそうであって欲しくないと思っている。

決して抱いてはいけない感情。俺はそれを秋子さんに抱いている。即ち、愛。先ほどみたいに萌えとか関係

ない。俺は心から秋子さんを愛している。だけど、それを表に出してはならない。それは許されざる事だから。


「……秋子さん」


だけど、言わせて下さい。聞いていなくてもいいんです。俺が、勝手に言いたいだけですから。


「俺は、秋子さんを1人の女性として好意を抱いています。許されない事は分かっています。だけど、俺は自

分に嘘はつきたくありません」


俺の独白にも、秋子さんは気絶したまま。これでいいんだ。この告白をしたら、俺はもう2度と秋子さんへの

想いを表に出す事は無い。だから、今だけは良いよな? 神様がいるとしたら、今だけは許してくれ。


「秋子さん、愛しています……」


柔らかそうな髪を撫でる。これで、終わりだ。もう俺の想いを口に出す事は無い。さようなら、秋子さん。貴

方を好きになって良かった……。立ち上がり、部屋を出る。


「……私も愛しています、祐一さん」


ドアノブに手を掛けた瞬間、聴こえてきた声にはっと振り向く。そこには、気絶していた筈の秋子さんが上半

身を起き上がらせ、微笑みながら顔を赤くしてこちらを見ていた。


「…あき、こさん……」


俺は、何も言う事が出来なかった……。
















「…あき、こさん……」


祐一さんの驚き顔が私を見つめる。対照に、私は驚くほど冷静に思考している。多分、いや絶対私の顔は

赤く染まっている事でしょう。祐一さんの告白と、私自身の告白のせいでしょうね。年甲斐も無く、恥ずかし

くなっています。


「私も愛しているんですよ。『甥』ではなく、1人の『男性』として」

「……許されない事ですよ」

「分かっています。だけど、この感情は止められません。……祐一さん、私は貴方を愛しています」


祐一さんを真っ直ぐ見つめながら、私は今まで心に仕舞いこんでいた想いのたけを吐き出す。否定されても

いい。罵ってくれてもいい。だけど、嫌いにはならないで。貴方に嫌われるのは、死よりも辛い事だから。


「卑怯ですね。そんな事を言われたら……、嬉しくて心が弾けそうになります」

「はい。知らなかったんですか? 女の人は、好きな人の為なら卑怯な事も出来るんですよ」


尤も、女性が本当にその人の事を愛していなければ出来ませんけどね。私は、祐一さんの為なら日本を敵

に回すことも厭わないんですよ。現在研究中のVer.5があれば何とかなる筈です。……私も本調子に戻って

きましたね。


「だったら、俺にも言わせて下さい」


祐一さんは滅多に見せない真剣な表情を私に向ける。……頬が紅潮するのが手に取るように分かる。


「秋子さん。……俺も、貴方の事を『叔母』ではなく1人の『女性』として……愛しています」


その言葉に、私は歓喜する。体中が祐一さんを求めてやまない。祐一さんが私にゆっくり近づいて抱きしめ

る。そして、どちらからともなく口付けをする。舌が絡み合い、唾液が双方の口腔の中に入る。粘着質な音が

密閉された部屋の中にこだまする。


「は…ぁ、む……ゆ…いちさ……ん」


そのまま、祐一さんは私をベッドに押し倒して……







(以下自主規制。音声だけでお楽しみ下さい♪)







「あ、駄目です。そんな……」








「え!? そ、そこは……ひぅ!?」







「いや、そこは弱……ひゃあぁ!」







「ゆ、祐一さぁぁぁぁぁぁん♪」







そこで何があったのかは、祐一と秋子だけしか存知知らぬ事である。ただ、秋子の部屋で祐一と秋子が汗と

その他諸々の体液に塗れながら裸で寄り添そって寝ている事から、相当の事があったのは確かだ。その後、

ベッドシーツを祐一が必死で洗い、部屋を秋子が必死で掃除している姿が水瀬家の娘達によって目撃された。
















……僕達は、一体何処で道を間違ってしまったんだろうか。思わず、そんな某種的ロボットの主役のような

台詞が俺の心を支配する。いや、別に遺伝子操作が自然発生に喧嘩を売った訳ではない。問題は無いのだ。

無い……筈。無いといいなぁ……。


「うふふ、祐一さん♪ いえ、もう夫婦なんですから『あ・な・た』って呼んだ方がいいですか?」

「……お好きに呼んで下さい、秋子さん」


そう、俺達は昨日『夫婦』になった。まぁ、名雪達の猛反対はある意味秋子さんの作る謎ジャム以上に怖かっ

た。それも秋子さんの作る謎ジャム(Ver.4.5)で沈黙させられたが。


「もう、呼び捨てで呼んで下さい。私達は夫婦なんですから」


やたらハイテンションな秋子さん。まぁ、いいんだけど……。え? 法律はどうしたのかって? ……何故か3日

前に『三親等以下略』が『三親等以上の者も結婚可』と改正されたんだ。テレビ中継でやってたから間違いない。

その時、国会の過半数の議員が『ジャ、ジャムが……』と呟いていたのは気のせいだ。気のせいだったら気のせ

いだ。


「ほら、あ・な・た♪」


秋子さんが身体を摺り寄せる。おふ、ふにょふにょと秋子さんの胸が……。こら、息子よマグナムになるな。

あ、秋子さん、その下半身に滑らせようとする左手はなんですか?


「わ、分かりました。言いますからちょっと離れてください。そういう事は後で……」


ここで最後に後でと言う辺り俺も結構末期だな。


「では……。おほん。……それじゃ、これからもよろしくな、あ……秋子」


「……はい、あなた♪」


どうだっていいか。俺と秋子さ……秋子は愛し合ってるんだ。それを、法律で律するなんて出来はしない。人の感

情なんて、法律でどうにか出来るものじゃないんだ。俺はそう思っている。さぁて、これから新婚旅行に行くとしま

すか!


「あ、な、たー!」

「おぅわーー!!?」


……どうやら、新婚旅行はもうちょい先になるかもな。(汗)


FIN




後書き

……何だこれ?(汗) 脳内妄想劇場をSS化してみたら、とんでもないのになってしまった。いや、こんな秋子さんも
好きだけどね。ここで作者の独り言。○泉首相は何考えてるんだ? そんなに戦争したいなら自分でいってこい。日
本を巻き込むんじゃない。 日本国憲法にもあるだろう。戦争放棄と言う言葉が。そりゃ、自衛の為なら致し方ない。
他国もやりすぎだとは思う。だけど、戦火を広めようとするなよ。アンタ、本当にやる気あるの?

……以上、作者の独り言でした。それにしても、祀りSS間に合ってよかった……。一時はどうなる事かと。やっぱ、加
速と根性、熱血、集中が勝利の鍵か。精神コマンド最高♪ では、今回の後書きはこれで。GOOD BY!


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