最近相沢の様子がおかしい。

まあ、周りのやつがあんなに死んだんじゃあ仕方が無いが

恐ろしいスピードで交友関係を広めていったと思ったらこの結末か。

親友として痛ましく思うぜ。

水瀬や美坂、それ以外にも7人が死んでるんだからな…。

 

ん?そういや相沢何処に行ったんだ…?



……チッ……世話の焼ける奴だ……
探しに行くとするか。今のあいつは何をしでかすかわかんねえからな。










Death End 〜Jun side〜








「……全く、何処へ行ったのかねぇ」
俺は一人ため息をつく。
商店街、水瀬家、公園、学校など、思いついたところはほとんど探した。

だけど、手掛かりゼロ。
 

「…やばいな。早く見つけねえと…」

別に理由があるわけではない。だが、俺の第6感が反応している。
それもやばいぐらいに。

「…そうだ。あの公園!」

おもむろに栞ちゃんと会ったと言っていた公園を思い出した。
俺は親友を探すべく走る。
たとえ、何かが起きていようとも……。








「…居たか…」

予想は当たった。相沢がいたのだ。だが、いつもより様子がおかしい。


何か考えている…?いや、葛藤している…?


「俺じゃない……。違う…」


何を言っているんだ?否定?何を否定してい『認めろ!!』

「!? 何だ今のは!?誰の声『ミトメロ!!』 ゾクゥッ!!

「い、一体何処から…?」

見たところ何処にも人影はない。相沢でもないはずだが…。


「チガウ…!」

? 否定の語調が荒くなって…。まさか…。

「おい!相沢!!お前誰と会話してるんだ!!おい!!あいざ…ガスッ…

「ぐがぁ………!?」

「ごめんね。邪魔しないでほしかったから…」

意識が飛びそうなほどの衝撃の後に聞こえた声は確かに少女のものだ。
しかし、驚くほど雰囲気は冷たい。

「だ……誰だ…?」

出ない声を振り絞る。

「えと、北川君、だったかな?ボクは月宮あゆって言うんだ。言っておくけど高校2年生だよ」

聞いたことのある名前だ。確か、相沢騒動で死んだはずの一人…。
そして相沢の過去に最も関係のある人物のはず…。

「君の考えている通りだよ。ボクは確かに死んだはず・・・・・、だからね」

 
「な…どういうことだ?」

ようやくまともに声が出せるようになった。こちらの考えが分かる点はスルーしようと決めた。
カノジョは間違いなく常人ではない。


「ボクは天使なんだよ…。だから死なないんだ。もう死んでるから…」


「て、天使?」

思わず素っ頓狂な声を上げてしまった。が、なぜか納得が出来る。


「うん。何で今ここに居るか話すね。7年前、祐一君と出会った日の事から…」







それから彼女は詳しく自分のことを語ってくれた。

 
母が亡くなってしまって泣いている時に相沢と出会った事。

一緒に鯛焼きを食べた事。

一緒に遊んでくれた事。

どんどん仲良くなっていった事。

指切りをした事。

天使の人形をとってもらった事。

願いが3つかなう、ただし相沢の出来る範囲で、という制約がついていた事。

彼女が自分を忘れないようにと頼んだ事。

最後の日、



2人だけの『学校』だった巨木から自分が落ちた事…。

相沢が泣きじゃくりながらも病院に彼女の身体を担いでいった事…。

そして、それが手遅れだった事…。






「なるほど…。それから天使になって現在に至る、というわけだな?」


「うん。物分りが良くて助かるよ。でね、ボクが天使になった理由、分かる?」


「……。誰か、いや、相沢を救うためか?」

俺は妥当な線としてこの回答を選んだ。天使というものは人を救うものだ。


「……外れだよ。しかも正反対のことを言ってる」


「な!?」

まさか!?なら天使じゃなくて悪魔ではないか!?


「君は、天使というものに固定観念を持ってるようだね。実際には天使はそんなものじゃないよ」

 
「ならば何をしにこの世界へ!?正反対ということは…やはり…」


「ビンゴ。祐一君を痛めつけるためだよ。目的はね」

 
解せぬ…。なぜ彼女は初恋の人を苦しめようと?


「教えてあげるよ、潤君。祐一君はね、ボクが木から落ちた時に何をしていたか知ってる?まあ話してないけど」


「…泣いてたんじゃないのか?君をかかえて」

相沢ならすぐ病院に連れて行くだろうがいかんせんまだ子供だったころの話だ。


「また外れ。正解は…」


いったん区切って彼女は言った…


「痛がってるボクをずっと見つめてたんだよ。それこそずっと。ボクが息絶えるまで」


「!?」


「呆けてた、というわけじゃないんだ。ただ、ボクを見てた。いくら話しかけても答えてくれない」


相沢に限ってそんなことは…


「そばに居てもくれなかった…。さよならも届かなかった…」


相沢が……


「ボクが死んでから祐一君は動いたんだ。ようやくね」


「………何故だ!?」

 
「決まってるよ。そんなこと。本人は気付いてないけど、僕が死ぬのを楽しんでたんだ」


「……何故そんな事が言える?」


「ボクは天使だよ?心の底だってお見通しだよ」

なんて事だ…。そんな面があったとは…。


「だから出来るだけ痛めつけてから殺そうと思ってきたんだよ。他の人も殺してね」


? 今なんと言った?


「聞こえなかった?祐一君を痛めつけるために8人を殺したんだよ。このボクが」


「貴様…たったそれだけのために…下衆が…」

流石の俺も怒りの限界に達したようだ。1人のために8人?被害が大きすぎる。


「相沢ぁぁ!!眼ぇ覚ませ!!葛藤してる場合じゃねえだろうが!!」


ドッ………!!!

「な…ゴフゥ……」


「悪いけど、騒ぐと祐一君が眼を覚ましちゃうでしょ?だから大人しくしててね」

俺の腹にはでかい槍が刺さっていた。先ほどの衝撃の正体だ。


「く…あ、相沢…」


「まだ騒ぐの?仕方ないなあ」

そう言うと彼女は手にナイフを出してこちらに向けた。


「ボク、お腹が空いたんだ。天使ってね、ヒトの魂が食べ物なんだよ。それも…!!」

ドスッ
「ぐああっ!!」


「苦しみながら死んだヒトの魂が一番おいしいんだよ!!」

ドスッ
「が…!!」

「う〜ん、結構苦しんでるしね。ちょっと早いけど、直接食べようかな」


…もう彼女が何を言っているのかも聞き取れない。あるのは痛みと五感だけ…。


「いただきます」


彼女が、いや、天使がこちらへ歩み寄って来る。やばい…!逃げなくては…!


「そうそう、絶望を味わってね?そのほうがおいしいか…らっ!!」


トスッ

何かが自分に刺さった…?


「え?」

消えていく!?意識が…記憶が…自我が…俺が…?
何故感覚がある…いや、感覚は無いのかもしれない…

ここは何処だ?天国?地獄?商店街?学校?

俺は寝ていたのか?起きていたのか?授業を受けていた?買い物をしていた?

俺は誰だ?男か?女か?獣か?虫か?

俺は何だ?

何を守ろうと・・・?

あれ…おかしいな…?ぼくはなにをして












フッ……














「ごちそうさま♪とてもおいしかったよ♪じゃあ…」










「祐一君にはもっと苦しんでもらうよ、
思考の海の中でね。
せいぜい自分を責めるんだね。」











そしてDeath Endへ…









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