「……はぁ」



20代後半だろうか?

一人の男性が大きな溜息をつく。



「……はぁ」

「樹、いい加減に腹を括りなさい」

「しかしなー」



溜息を乱発している男性の名は樹――桜乃樹という。

一方、その樹に寄り添う様に一緒に歩いている女性は藤倉和。

近い将来、桜乃和になるのが決定的な女性だ。



「別に問題ないわよ。 皆、もう大人よ」

「それは…そうだけど…」



二人はこの芽吹野町出身であり、現在は東京で高校教師をしている。

今回は無理を言って二人とも有給をとり、芽吹野町に帰ってきた。

お互いの両親に婚約の報告をする為だ。

その報告も先日に終わり、現在はある料亭で行われる同窓会に二人して向っている。



「皆元気にしてるかな?」

「悠は元気すぎた」

「悠は変わらないね」



樹の従姉妹であり、和の友人でもある悠は、先日の婚約の報告の場に…なぜか一緒にいた。

婚約の報告を聞いた瞬間には見事に固まっていたが、すぐに何時ものハイテンションに戻っていた。



「着いたわよ、桜乃先生・・・・

「……元担任として、教え子と結婚とは言い難いよな…」



教え子達との再会を素直に喜べない樹であった。











〜ふるさと〜











「桜乃先生、お久しぶりです!!」

「先生、変わってないですねー」



会場に入った樹に集まってくる教え子達。

久しぶりに会った少女達は、大人へと変わっていた。

……中身は変わってないみたいだが。



「桜乃先生、お久しぶりです」

「楓か…大人っぽくなったな」

「そんな事ないですよ…」



少々物静かな印象を受けるこの女性の名は、楓ゆづきという。

和の親友とも言える存在で、樹との仲は高校時代から知っている。

現在は小説家として活動しているそうだ。



「それに、あんまりわたしを誉めると…和ちゃんが先生の戸籍を抹消して、国から存在を否定されますよ?」

「……楓も中身は変わってないな」



楓ゆづきという女性の言動は、時々想像もつかない方向に飛ぶ。

これはどうやら、学生時代から変わってないようだ。



「樹ちゃーんっ!!!」



どすーん



「ぐはっ!!」



体当たりにしては、ありえない爆音を出したのは桜乃悠。

なんと言うか…一言で言うと子供である。

樹を除く、ここに居る全員とは同い年のハズなのだが、中学生でも通る幼さを持っている。



「樹ちゃん…大丈夫?」

「心配するなら体当たりなんてするなっ!!」

「ご、ごめんなさい」

「全く…本当に変わらないな」



その言葉にえへへへと笑う悠。

それからしばらくの間、三人は談笑していた。











「二人とも、和とは話さないのか?」



樹が不思議そうに言った。

和と悠、ゆづきは最初に挨拶したきり話してない。



「わたしと悠ちゃんは、明日和ちゃんと会う約束をしてるんです。 和ちゃんから聞いてませんか?」

「あーそういえば、言ってたな」



樹が答える。

話に出てきた和はというと、先程から教え子達が樹の元に来ては、その度に殺気を放っている。

ちなみに和は、樹から少し離れた所で数人とお酒を飲んでいる。



「あれ、藤倉さん…その指輪…」

「もしかして…エンゲージリング!?」



和と一緒に飲んでいた二人の女性が大きな声をある。

その声に一斉に反応する元クラスメイト達。



「ほ、本当だ!! 藤倉さん、結婚したの!?」

「えーー!! 藤倉さんの裏切り者ぉぉぉ!!!!」

「ねぇ!! 相手は何してる人!?」



和は少し考えてから…。



「婚約したのよ、少し前にね。 仕事は高校の教師で、私の同僚」



和の回答にさらにヒートアップする元クラスメイト達。

さて、ついに決戦の時が来た我らが桜乃樹。

緊張している樹に、悠とゆづきが心配そうに言葉をかける。



「樹ちゃん、大丈夫?」

「……結構、ヤバイ」

「桜乃先生、多分この後尋問があると思いますが、頑張って下さい」

「楓、分かりきってる事を教えてくれて、ありがとう」



そんな三人の方をちらっと見る和。

その目は…笑っていなかった。



(まずい…)



即座に危機を察知する樹。

今の樹の両手に花の状態―――女子高の同窓会なので、当然と言えば当然だが―――が不満なようだ。

さらに、この会場に来てから自分と一言も話してない。

和は非常に独占欲の強い女性である。

許せるはずもない。

よって、和は非常に分かりやすい行動に移った。



「実は…今日、私の婚約者ここに来てるのよね」

「「「えーーーー!!!」」」



そう、発表してしまえばいい。

樹は私の婚約者、手を出す者には死を。

これが現在の和の思考である。



「桜乃先生、こっちに来てくれませんか?」

「……了解」



和の元に歩いていく樹。

その後姿は妙に悲しい。

これからの夫婦生活の主導権を取るのは和で間違いないだろう。



「それじゃあ紹介するわね。 私の婚約者の桜乃樹先生」

「「「……」」」

「えー、そうゆう訳だ」



固まってる教え子達に報告する樹。

だが、この静けさも数秒で終わる事になる。



「「「えぇぇーーーー!!!!!」」」



先ほどの数倍の驚きの声が会場に響きわたる。

この後、樹は三次会まで強制連行され、和との事を尋問される事になる(和は二次会で帰宅)。

その際、高校時代に流れた噂が事実…つまり高校時代に既に手を出してた事が発覚し、樹はさらなる窮地に立つ事になる。

















後書きっぽい雑談

Q どうして、100万hit記念でメジャーではない、「はるのあしおと」のSSなのですか?
A 大宇宙の心を見たからです♪←電波

Q そもそも、どうして書こうと思ったのですか?
A 和に萌え萌えだからです♪

Q 作品がワンパターンだと、突っ込みがあるのですか?
A 殺すぞ♪

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ごめんなさい(土下座)
完全に自己満足に走ってしまいました(汗
原作を知らなくても、ある程度分かるように書いたつもりですが…

あ、『はるのあしおと』はminoriの作品です。

最後に…100万Hit、おめでとうございます。
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