精霊と人の詩。

第二十六話   だから貴方は微笑んで〜心の中〜
暗い、暗い闇の底。香里と名雪はただ歩いていた。 「ねぇ、香里。ここが祐一の心の中なの?」 「たぶんね。栞はまだ現れないし……一体どうしたのかしら。」 「暗いね……」 「そうね、そして寂しい場所だわ。」 ふと気がつくと、足元には綺麗な石が転がっている。名雪はそれに気がついた。 「わぁ、綺麗。」 「名雪?何をしているの?」 まるで魔が差したかのようにその石に手を伸ばす名雪。香里はやめさせようと名雪に手を伸ばした。 名雪が石に手を触れた瞬間に石の中に引き込まれてしまった。 支えていた者を失ってしまった香里は体勢を崩して、同じように違う石に手を触れてしまう。 香里もまた石に引き込まれてしまった。 見知った顔。いや、見慣れていた顔。そして、もう既に見ることの出来ない顔。 気がついたら目の前にその顔があって、見上げていた。 名雪はその顔を見て、声を出したかった。今の自分を見て欲しくなった。しかし体思うようには動かない。 いつも聞いていた声。自分を心配してくれる声。懐かしくそして切なかった。 口を開こうにも、口はあかないし、体は自分のものではないように勝手に動いていく。 (お父さん!) 「祐一君。君は何故、強くなりたいんだ?」 「…………どうしてだろう?」 自分の口から暗い祐一の声が紡がれる。名雪はこれが祐一の記憶なんだと言う事を朧げに理解した。 その返答に困ったように名雪の父、神無が頬を掻いている。困ったときにいつもする父の癖だった。 嬉しくて、悲しくて、それでもやっぱり嬉しくて名雪は涙が出そうだった。 もう見れないもの。それが、目の前に再現されていく。 夕暮れ。どうやら祐一に稽古をつけた後のようだった。 「言いたくないなら言わなくてもいい。でも、今、教えている事は方向しだいで人をも殺せる。その事は心にとどめて欲しい。」 お父さんから小さな頃から言われていた言葉、小さいときは良く分かっていなかった言葉の意味。今なら解る。 いつも稽古のときに悲しそうな顔をしていたお父さんの顔。そのときと同じ顔をしている。 懐かしいようで、この顔を見ると昨日の様に近いような気もする。でも、もっと昔の事なんだと名雪は思った。 自分の体よりも小さな体が小さく震えた。 「だからその方向を間違えないで欲しい。いいか?これはおじさんからのお願いだ。」 自身の体が震えている。この震え方は名雪は知らない。恐怖でもない、怒りでもない。体の震え方。 両腕でその震えを止めようと、きつくきつく自分をさえつける。 名雪はこんな体の震え方をした事があるだろうか?と自問自答する。 近いものはある。それは自分の父を失ったときの震えだ。でも、こんなに身に堪えるような震え方ではない。 「……ボクは祐夏を、妹の祐夏を守るって誓ったのにその誓いを果たせなかったんだ……誓いを果たす前に死んじゃったんだ……」 目に見えている物が滲み、自分の頬に何かが流れている。名雪はそれが祐一の流している涙だと知った。 嗚咽の混じった声。後悔と悲しみを混じらせ泣きながら、目の前の父親に懺悔をするように紡がれる祐一の声。 名雪でもこんな声は聞いた事が無い。祐一は名雪の前ではこんな泣き方いや、泣いた事なんて無かった。 どんなときだって、名雪の前では笑っていた祐一。まさか、自分に見えないところで涙を流していたなんて知らなかった。 そして、自分が恥ずかしくなった。いつも私に笑いかけて元気付けてくれる初恋の少年。 今も姿こそ変らないものの、同じ時を過ごしていた。祐一が一人のとき、何故この事に気がついてあげれなかったのか。 なぜ、手を差し伸べて上げれなかったのか。何故この悲しみを吐き出させてあげなかったのか。 なぜ、私に頼ってくれなかったのか。何故一人で抱え込んでしまったのか。どうしようもない疑問が渦巻いた。 (私はただ祐一に甘えていたんだなぁ……) 「もうこの世には、祐夏は居なけど、もうこんな思いをするのは嫌だから……だから僕は強くなりたいの……」 神無は祐一の頭をなでながら、祐一が泣き止むのを待っている。優しくなでられる頭。 名雪のときも優しく頭を撫でてもらえた。どんなときだって。 虐められてないて帰ってきたとき。怪我をして大泣きをしたとき。褒めてくれたとき。 その懐かしい感触を感じ、身を任せた。そして、外からの声に意識を引き戻された。 香里も同じように戸惑っていた。自分の目の前にで起こっている事に。夢を見ている感じだった。 しかし会話を聞いて聞くたびにこれは祐一の記憶だという事に気がついた。 それは悲しい夢。夢でしか見ることの出来ない光景。絶対に守ると誓った妹とただ笑いながら道を歩くという夢。 ベットで横になって寝ている赤ん坊。それを見ている自分に父さんと母さん。その顔はぼやけてしまっていて良く分からない。 「いい?祐ちゃんはお兄ちゃんだから、祐夏を守ってあげるのよ。」 「そうだぞ。祐一は男なんだからな。」 「うん!お父さん!お母さん!僕、頑張るよ!」 無邪気な自分の声に、その声に微笑む夫婦。そこに響いた赤ん坊の笑い声も嬉しそうだった。 自分が妹を守ると誓ったのはこんな何気ない父さんと母さんの一言だったかもしれない。 ある事件を境に、自分と妹は虐められる対象になってしまった。その光景はあまりに悲惨だった。 自分を部屋に閉じ込める両親にお母さんの妹。もちろん我侭を言って一緒に連れて行ってもらおうとする。 「お父さん!僕も行く!」 「駄目だ。ここで大人しく待っていなさい。」 「お母さん!」 「祐ちゃん。大人しくしてるのよ。行くわよ、秋子。」 「分かってます。姉さん。」 そのまま部屋の鍵を外から閉められ、自分は部屋の外には出られなかった。 扉を体当たりしてもびくともしないし、天窓には手も足も出ない。 妹が帰ってきたときには、妹はぐったりしていた。でも息はしていた。 自分は知っている。自分には才能が無いが、妹には神降ろしの才能が有ったって。 たぶん、妹は精霊に取り付かれたのだろう。それもずるがしこい精霊に。 帰ってきたお父さん達の会話が聞こえる。自分が寝ていると思っているのだろう。 「それにしても、驚いたわ。あれだけの才能が有ったなんて……」 「そうだな。俺も驚いた。今回は巧く神落しが出来たから良かったものの……」 「祐夏ちゃんにそのときの『記憶』は有るのですか?」 「あるようだ。」 「何ですって!あなたが降ろしたときは記憶は残らないって言ってたじゃない!」 「祐夏が特別なのか、それとも俺が出来損ないなのか分からないが、祐夏が特別なんだろうな。親父は一言もそんな事は言ってない」 「なら、もしかすると、精霊無しで力の行使が出来る可能性が?」 「否定しきれないな。」 「そんな……そんなの、嘘よ!」 「確認したわけじゃない。でも可能性の話だ。覚悟は……しておいた方が良い。」 自分に理解できる言葉ではなかった。でも、妹に関することで有る事は分かっている。 目を擦りながらそちらの部屋に出て行く。3人の振り向く顔が怖かった。 「祐ちゃん、どうしたの?」 「……祐夏は?」 「今は寝てるから祐ちゃんも寝ましょうね。」 「……うん。」 それ以来、自分たちはいつものように同年代の子供達から仲間はずれにされて、いじめられていた。 自分は妹に何が有ったか知らないのに回りのみんなうっすらと知っていた。 「悪霊兄妹!あっちに行け!」 「うわー、あいつの方に行くと悪霊に取り付かれるぞ!」 「……っ」 「あぁ!悪霊兄が怒ってる!逃げろー!」 自分が悪口を言われるのは構わなかった。でも、妹に向けられる悪意がたまらなく嫌だった。 そんな口塞いでやろうと歯を食いしばって、前に出て腕を振り出そうとしたとき。 妹が目に涙を溜めて、自分の腕を止めている。そんな妹を見て僕は何も出来なかった。 どんどん、周りの同年代の子供達から浮いた存在になっていく。いつも妹と自分は二人だけだった。 「お兄ちゃん。今日はあの子、居るかな?」 「居るよ。毎日一緒になって遊んでるもん。」 お父さんからの稽古の後に、広場で遊ぶ事は出来ないのでいつもの森に行った。いつものように森で動物達と戯れながら遊んでいた。 そのときは運が悪かったとしかいえない。動物達が怯えて逃げていくのが何の事だか分からずに佇んでいた。 気がつくと前には魔物が一匹こちらを向いていた。猪の様な魔物が。自分は妹を魔物から守るためにナイフを手にした。 背中に妹の気配を感じながら、その気配に安心しながら。その魔物を相手にしていた。 まさか、魔物を追い払った後に最悪の事態が待ち受けてるとは知らないで。 こんな事ならば、先に妹を逃がしてとか、そんな事は思い浮かばない。それがそのときの最善だった。 「おい!こんな場所で時間をくってて良いのかよ!」 「大丈夫だ。それにここに悪霊の娘が居るぞ。」 蛇が背中を駆け抜けていくような、そんなおぞましい声。 振り返ると、そこには大人がいた。その手には胸を大きな剣で貫かれてる妹の姿が。 誓いは守れなかった。自分にはそれだけの力が無かった。あともう少しの力があればと思う。 そんな思いが強く感じ取れた。自分もその子と同じように何か叫んでいる。 その声は、この世の物とは思えないほど、悲惨で凄惨なものだった。 悲しみだけでなく、怒りだけでなく、後悔だけでない、叫び。何を叫んでいるのか自分でも分からない。 あぁ、このままでは自分はおかしくなる。それだけは自覚できた。 自覚したとき、香里の意識は外からの何かによって引き戻された。 目の前には涙で目を腫らしたであろう名雪とやけに必死な顔の栞がいる。 栞はぺちぺちと香里のほほをたたいていた。 「お姉ちゃん!?」 「なに?栞。」 「よかった。取り込まれなかったんですね。」 「ちょっと栞、それはどういう事?」 「言葉通りですよ?言ったじゃないですか!何も触らないでくださいって!」 栞は頬を膨らませて怒っている。香里は名雪のほうをジト眼で見た。 「ごめんなさい。ちょっとうっかりしていたわ。」 「はぁ、まあ良いです。」 栞の落胆に香里は心穏やかではなかったがそこは姉。ぐっとこらえた。 「では、先ほど言っていた説明の付け加えをしますね。」 「えぇ、お願いするわ。」 「まず、怪我がありません。見ていてください。」 栞は何処から取り出したか分からないが手にはナイフを持っている。それは祐一から貰ったナイフだった。 それをおもむろに手に突き刺す。香里と名雪はあまりの出来事に目を逸らした。 「ちゃんと見ていてください。血は出ていないでしょう?」 「「え?」」 「私は知識として知っていますから、こんな事も出来るんです。」 「ちょっと、どういう事なの?」 「簡単に説明すると全てイメージなんです。今お姉ちゃんが来ている服はいつもの格好ですよね?」 「そうね。」 「それはそれが一番イメージがしやすかったからです。名雪さんの武器は双剣ですよね?」 「うん。」 「どこに有りますか?」 「え?ここにあるけど?」 名雪は両手に剣を持っている。栞はそのまま続けた。 「では何処から出しましたか?」 「えっと、腰の鞘から引き抜いたよ?」 「腰を見てください。」 そこには剣を納めていたはずの鞘が無い。名雪は目を点にした。 「私に言われてからイメージしましたね?」 「言われてみれば……」 「まぁ、こんな感じです。イメージとはいえ、感覚つまり痛みなどは有ります。」 「ショック死とかもありえるというわけね。」 「そうです。お姉ちゃん。」 「うー、なんだか、こんがらがっちゃったよ……」 「名雪、悪い事は言わないから普通の感覚でやりなさい。」 「うん……そうするよ。」 香里はちょっと落ち込んだような名雪に苦笑しつつ栞に聞いた。 「これからどうするの?栞。」 「簡単ですよ。奥に向かうんです。」 「奥?」 「祐一さんの精神が居る場所です。」 「どうやって行くのかしら?」 「簡単です。だってすぐそこまで来てますから。まぁ、そう簡単にはいかないみたいですけどね。」 栞が意味ありげに暗闇の中に視線を流す。 ぱちぱちぱちぱちぱち。 突然の拍手。拍手をしているのは、一人のピエロ。 それは50センチほどの大きさで、顔半分に仮面をかけている。その為に表情は分からない。 真っ赤な帽子に白の生地に原色が散りばめられた服を着ていた。演技がかったお辞儀をし、口を開いた。 『ようこそ、相沢祐一の精神の中へ……』 「そういう事なのね?」 「えぇ、そうです。お姉ちゃん」 『私はこの場を取り仕切っている祐一の精神防壁です。祐一は精霊界で私に意味を与えてくれました……』 「うー、私にもそんな人が住んでるのかな?」 『あなた様方にはそんな者は居ませんのでご安心してください。祐一が私に意味を与えたのは必要だったためです……』 「私達がこの先に進むには……」 『私が邪魔をいたします。と言っても直接ではありませんが……』 ぱちんとピエロが指を鳴らす。すると目の前には3つの扉が現れた。 それが出現したとたん、すぅーっとピエロの姿が掻き消える。 『祐一に会うというのでしたら、進むというのでしたら、その扉からどうぞ……』 「3つの扉ね……」 『死ぬつもりで来ないならば、帰ったほうが身のためです。どうぞ、ここでお引き取りくださいませ……』 「私はね、死はもとより覚悟の上よ。人を助けるために自分の命を秤に賭けなくてどうやって人助けが出来るというの?」 「死ぬ気はありませんし、祐一さんをそのまま放っておくつもりもありません。」 「祐一はね、私の大切な家族なの。だから、放って置けないんだから。」 『ゆめゆめ、その言葉お忘れないでください……』 「何だか、気になる言い方ね。」 『行った先でその言葉の意味を後悔することでしょう……』 不吉な言葉を残して声は消えた。残ったのは目の前にある扉だけだった。 「さて、どうするの?」 「3人で、同じ扉から行きましょうか。」 「わ、そんな事して良いのかな?」 「そんな、それぞれ一つの扉という説明はありませんでしたよ?」 「それはそうだけど、そんなに簡単にいくのかしらね?」 「ともかく、決まったのなら行こうよ。」 そのまま、三人並んで真ん中の扉まで歩いていく。そして足を踏み入れたとたん。 ゴン×2 「えぅ!」 「だお!」 栞は頭を、名雪は鼻を押えている。そこを何かにぶつけたようだ。 栞と名雪を残してその扉は消え去った。残る扉は2枚だった。 また、先ほどの声が響き渡る。心持ち、呆れた声だった。 『申し忘れましたが、一つの扉に一名のみでございます。もっとも、そんなおかしな事はしないと思いますが……』 「うー、うー!うー!!」 名雪は理不尽な説明と状況に腹を立てていた。 「名雪さん。私はこっちの扉に行きますね。」 「分かったよ。栞ちゃん。また後でね。」 「はい。」 互いにぶつけた箇所を押えながら、扉の向こうへ消えていった。 その頃、外では大変なお客様が来ていた。 『退ケ』 「あはは〜、嫌なこったです。」 「……傲慢。」 白い塊。それが佐祐理たちの前にいた。あゆは祐一の近くにいる。 今は動く事の無い、そして眠っているような3人の最後の壁としてその前に居た。 『退ケ』 もう一度白い塊から音がした。佐祐理に舞は消耗している。 それを相手にしたいとは思っていないが、簡単にハイ退きますとは言えない。 「さて、この中で一番元気なのは……俺か。まったく、損な性格してるぜ。」 「往人さん。行くの?」 「あぁ、何となく体を動かしたくなってた所だ。」 「頑張ってね。」 手をひらひらさせて観鈴の前を歩いて白い塊の方へ歩いていく。 観鈴はそれを信頼した眼差しで見送った。 「さて、お二人さん。ここは俺に任せてもらおうか。」 「ふぇ?」 「……どうして?」 「俺が一番元気だからだ。」 「良いんですか?」 「よく無かったらここまで出てこない。それにそこの奴とも話してみたかったからな。」 白い塊を指差して不敵に嗤う往人。頼みましたと言って後ろに下がる2人。 往人と一対一になって白い塊に波紋が走った。どうやら動揺しているらしい。 「さて、どうしてここに来た。」 『主ノ為』 「お前さんに意志は。」 『無』 「このまま、封印されたままが気に食わない?」 『肯』 「もうすぐで解かれると言っても待てないか?」 『肯』 「そうか。ならお手合わせ願おうか。」 『退ケ』 「否……だな。どうやら俺はこの連中が気に入ったらしい―――――人形よ!」 羽の生えた大きなトランクケースから2体目の人形が現れる。 人形と言っても往人の体よりも大きく、そして、冷たい印象が付きまとう。 人の容だった白い塊が獣の容に変っていく。それが弾けた。 ガシュぅ! 人形の腕が獣の牙を受け止める。そのまま、腕を獣の頭に振り落とした。 獣のそのままであるわけではない。身を捻って腕を避ける。そして人形の背後に回った。 ガスゥ。ぴちゃぁ。 人形の左腕が不自然に曲がって背後に回った獣の頭を打ち砕いた。 往人はそのまま、距離をあけて人形を獣の間に入れる。 頭を崩したまま、獣はなおも襲い掛かる。勢いはどんどんと増していった。 ガシュゥ、ダン!ギャン!パァァァン!キャラン、カラン、からん、かた。 獣の腕を人形で逸らし、腹を蹴り上げる。獣も負けじと逆の腕を繰り出したがそれも逸らされた。 しかし、有り得ない所から、ありえない一撃が来た。蹴り上げられた人形の足は腹に沈み込んだまま固定された。 その後だ。獣の胸の部分から腕が瞬間的に生えて、人形の膝の部分を破壊する。 膝は見るも無残に砕かれ、膝当てが空中に舞い、乾いた音を立てて落ちた。 がしゃぁん。 腹に固定されていた人形の右足を異物を取り出すように吐き出した。 現在往人の人形は片足で立っている。ふらふらしていて今にも倒れそうだった。 白い塊は獣の容から人の容に戻った。 『退ケ』 その言葉しか知らないように同じ事を繰り返す白い塊。 往人の唇の端が持ち上がった。それは笑うという感じの感情を表している。 「それで圧倒できな実力差があると言いたいのか。……舐められたもんだ。」 往人の目に冷たい怒りの炎が宿った。それは目の前の白い塊に注がれている。 「人形よ。久しぶりに俺は本気を出す。お前も俺に答えてくれ。」 カッシャァン!カチャン! 吐き出された右足が元の場所に戻る。そして、地面に転がっていた膝当ても元の場所に戻った。 「手は出さないでくれ!良いな!」 往人は今この戦いを見ているであろう、舞と佐祐理、あゆ、そして観鈴に声をかけた。 舌なめずりをする往人。白い塊は人の容のまま往人を眺めていた。 忌々しいと舌打ちをしてから、ギンッと白い塊を睨んだ。 「意志が無くとも有っても構わない、絢爛たる剣舞を見せてやる。後悔するなよ――人形よ!」 『退ケ』 カチャン。 人形が手にしたのは2振りの剣とつま先から飛び出た刃物だった。 白い塊はそのままの容で迎え撃つようだ。
あとがき 次回もこんな感じで同時進行みたいな感じで進むと思われます。 往人さんの活躍まで入るかどうか分かりませんが……努力はしてみます。 色々とこの後を考えているのですが、なかなか思いつかないものです。 それでは、ここまで読んでくださった皆様に感謝します。ゆーろでした。
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