精霊と人の詩。

   第二十五話   だから貴方は微笑んで〜コンビネーション〜
光の束が祐一を襲い続ける。まるで光の檻だ。そこから脱出する術は全くと言って良いほど無い。 檻の中で、ただひたすら直撃しないように手薄な方へ、手薄な方へと避けていくだけだ。 光の檻が急に解かれた。しかし目がまだ暗闇に慣れていないため、周りの状況が判断できない。 辺りを見回しているとき、辺りから沢山の気配に包まれた。その中の一つが祐一に向かって力を行使する。 「ミラーイリュージョン」 「ボルトランス!」 ばちん!と大きく跳ねる祐一の体。またも放物線状に飛ばされた祐一はそのまま地面に無様に跳ねた。 電撃が体に走った為に体が痺れているために体の自由が利かない。痺れる体に鞭を打って回りを見回す。 ようやく、目が暗闇に慣れてきた。辺りは沢山の人がいる。同じ顔が幾つもあった。 近づいてくるそれに対しては、無差別に攻撃をする。どれもばりんと音を立てて砕けるだけだった。 痺れが残っているのか、祐一の動きは鈍い。加えて傷の治りも遅かった。 もう一度腕を一振りし、目の前によってくる虚像を破壊する。破壊し、腕を振り切ったところに本物がいた。 祐一に近づき過ぎ、腕から血を流している一弥が構えていた。 「ボルトランス!」 バァァァン!またも大きく跳ねる祐一の体。今度は先ほどよりも大きく飛ばされている。 その先には誰かが詠唱しているのが分かった。これまでに何度も飛ばされている祐一。 それを癪に思ったのか、腕を振り、飛び散っている全ての羽、一枚一枚を動かす。 生きているように飛び散っている羽は集まる。羽は弾丸のように飛び、大量に展開されていた虚像を破壊して回った。 「えっ?」 信じられないと言う瑞佳の声。一斉に硝子を割れたような音が鳴り響き、虚像は全て破壊される。 残されたのは木を背に立っている瑞佳だった。一瞬、瑞佳を確認した祐一は地面に叩きつけられる直前にもう一度、腕を振るう。 未だに空中に漂っていた羽は、祐一が地面に叩きつけられたのと同時にまるで意志があるかのように動き出した。 だぁん!地面をゴムマリのように跳ねる祐一。全ての羽が瑞佳に向かって飛び立った。 「まずい!ボルトスクウェア!」 瑞佳の前に現れる電撃の壁。壁が有る程度の羽を焼き、焦がしてその場に押しとどめようとするが、全てが止まったわけではない。 視界を埋め尽くすほどの羽。その半分位はその場にとどめる事は出来た。しかし、壁が途切れれば向かってくることが分かる。 勢いが全て死んだわけではない。全てが焼け焦げた羽は力尽き地面に落ちている。 地面に落ちていないと言う事はまだ力が残っていると言う事だった。瑞佳の横から壁を展開する一弥の肌に脂汗が浮かぶ。 「くぅ!まだだ!まだやれる!」 歯を食いしばり、その場の電撃の壁を維持しようと努力する。しかし、それも時間の問題だった。 壁を突き抜けようとするものが出始めている。と、遠くから悲鳴が聞こえた。 「歯を食いしばれーーー!骨は拾ってやるわよーーー!折原ーーーーーー!!」 「うわおぉぉぉぉぉぉぉ!!」 悲鳴のようなそんな勢いで遠くから衝撃波に乗って全身ボロボロになりながらも飛んで来る浩平。 電撃の壁、直前で着地、すぐさま能力を行使した。一瞬が間延びする。その時間、魔力が持つ限り剣を振り回す。 剣を振り回して羽を両断していく。しかし量が圧倒的だった。一弥が壁を形成してくれているから狙いは付けやすい。 そんな状態でも切っても切っても、まだ終わりが見えない。浩平の魔力の限界が近づいてきていた。 「くっそ!」 最後の力を振り絞って剣を振る。集中力が途切れた瞬間、間延びした時間は元に戻った。 それと同時に一弥の壁も破壊されてしまう。2人によって羽の数こそ減ってはいたが、瑞佳が叩き落せる数ではなかった。 「観鈴、落とせ!」 「うん!」 大きなトランクを持った往人が瑞佳の前に落ちてきた。トランクを盾として、瑞佳を伏せさせる。 タタタタタタタタタタタタん。急に現れたトランクに羽の殆どが突き刺さる。外れた羽は後ろの木に突き刺さった。 羽はもう動く事はなかった。凄まじい数の羽が地面に氾濫し、トランクは斬新なデザインになっている。 往人の肩に3本の羽が刺さっているが、顔は結果オーライだという感じだった。無造作に羽を引き抜いた。 その頃、地面を跳ね転がっている祐一は、飛鳥に狙われていた。 「だから貴方は安心して、風化してしまいなさい!イレイサー!」 回路を破壊する事を考えずに相手を消耗させる事を第一と考えて放つ、真っ直ぐに奔る滅びの風。 電撃に関する耐性も出来き始めていた為に、それを避ける時間は十分にあった。 祐一は前のめりだった姿勢から前に転がるように動く。そのまま、風の範囲から外に出てしまった。 外れても曲がる事の無い飛鳥のイレイサー。奔って戻ってきていた美汐がその風の正面に滑り込んだ。 「イン・ダ・スティッチ!」 美汐の手のひらに貼り付けられて付箋。そこから空間の裂け目が現れ、風を全て飲み込んだ。 「アウト・ダ・スティッチ!」 イレイサーによって繰り出された風を全て飲み込んだのを確認して、息もつかせずにすぐに出口である空間の裂け目を開いた。 それは祐一の羽根についている付箋から空間の裂け目が開き、風が吐き出される。 祐一は避ける事も出来ないその一撃を、付箋の張り付いた羽の角度を変えることで、最小の被害に済まそうとする。 それでも翼の殆どは、風の威力によって風化させられてしまった。先ほど受けた傷が癒え始めたのに、翼は殆どが無くなってしまう。 祐一はその事を確認するように、その場に留まった。窺うように辺りを見回しながら手を背中に回す。 「美汐さん。やるわね!」 「油断は禁物です!」 美汐に話しかけた飛鳥。その一瞬の気の緩みを祐一は見逃さない。祐一の居た位置に雪が舞い上がった。 美汐の叫びに反応して、体を少しでも祐一から離そうと試みるが、無駄だった。 ものすごい勢いで、祐一は飛鳥に肉薄する。 「人形よ!」 観鈴がきわどいタイミングで飛鳥の前にボロボロの甲冑を落とす。その胴には既に穴が開きボロボロで足りないパーツも多々有る。 しかし、祐一を弾き飛ばすのには十分だった。突進してくる祐一を受け止め、弾き飛ばす。その先には舞と恵がいた。 弾き飛ばした後、人形はピクリとも動かなくなってしまった。これが限界と往人に抗議している様でもあった。 舞と恵、二人からは異様な雰囲気になっている。その二人からどんな事をしても祐一を止めるという意志が感じられた。 往人の人形が、からリと崩れていく。それに合わせて二人は飛び出した。 そのタイミングはまさに阿吽の呼吸。一息も乱れずにコンマ何秒も無く同じタイミングだった。 「筋力を強化、我が剣に宿るは破壊の力。押し留めるのは祐一。奥義、煌き!」 「私の力、その全てを見せてあげる。祐一!思い出してよ!!バニティ!」 いつかの様に左右からの舞と恵の奥義。祐一の動きが止まった。 その頃とは違うのは間に挟まれる祐一だ。あの頃とは違って圧倒的に外的なダメージの特徴が見られない。 例えば腕が消し飛んだとか、足があらぬ方向に曲がっているとか。しかしダメージが大きいのか動く事は無い。 しかし、ダメージは確実に祐一を蹂躙している。祐一の装備している鎧のおかげでダメージが大きく見えないだけだった。 静かに、目の前にいる栞を見つめる祐一。祐一の正面にいる栞。やはりその目には光が灯っていなかった。 「大地にいる冷厳なる冷気よ。見えない精霊達よ。我に力を。呼びかけに従いてその力を見せしめよ。」 左手のナイフから、白い冷気が辺りに滲み出した。自分の見ていた最大の威力を技。 栞の判断ではまだ祐一は消耗しきってはいない。残酷なようだが、まだこれを放っても足りないかも知れないと感じていた。 それほど、祐一の回復力と耐久力は異常である。精霊の加護以上の速度で回復を行なう。脅威以外の何者でもない。 間違いではない、そう栞は自分に言い聞かせて、詠唱を続ける。 「さぁ!我が声に応えよ!我はそなた等を率いて彼の者を押し留めん!アブソリュート・ゼロ!」 全身のばねを用いて、動きの止まった祐一に必殺の一撃を叩き込もうと動く。 いくら動きを止めているとはいえ、その動きが終わる前に祐一は迎え撃つ体勢を整えていた。 舞と恵のダメージをようやく動けるところまで回復した。そんな感じだった。 舞は恵の本体を抱えて溢れ出てくる冷気から逃げている。低温火傷や凍傷で済む冷気ではない。 自分の筋肉が悲鳴を上げている状態で必死になって栞の放つ冷気から逃げていた。 「祐一にはもうそんな顔をして欲しくはないんだよ!」 恵の分身、2体が祐一の両腕を押さえ込み、隙が出来た。引き剥がそうと動く祐一だがそのときには既に遅い。 祐一は引き剥がすのを諦めて無理に両腕をクロスして栞の一撃に耐えようとして、その一撃を貰った。 ばきゃぁぁぁん! 凄まじい冷気と衝撃で恵の分身が砕け、祐一はというと後ろの大木に叩きつけられていた。 全身に冷気が襲い掛かったために体のいたる所が凍り付いている。が、動き始めるのは時間の問題だろう。 「あゆさん!今です!」 「うん!大樹の抱擁!!」 凍り付いている祐一をその背中に存在している大樹の幹が包み込むように拘束していく。 あゆはそのまま、大樹で拘束する事に意識を集中する。栞は新しく詠唱を始めた。 「貴方の心を凍りつかせ、精神を安らぎの眠りの中へ……第一封印。」 栞の左手が祐一の頬に触れた。その瞬間、祐一の動きが止まり、今まで光の宿っていない目が閉じられた。 「貴方の体を凍りつかせ、肉体をしばしの休息の中へ……第二封印。」 ゆっくりと、その左手が祐一の頬から額に移る。手がだらりと落ち、力なく体が薄い膜のような物で固定される。 「貴方の精神、肉体を守るために、ルナの名の下に封印する……最終封印・月牢。」 左手の指で祐一の額を軽く叩いた。それと同時に、祐一の体を水晶のようなものが包み込んだ。 誰もが、これで祐一が止まったと思った瞬間。誤算が起こった。神の鎧が水晶のようなものから這い出てきたのだ。 『不快ナリ。』 「え?」 『我、戻ル、主ノ許ニ。我、オ前達、許サ否。』 真っ白な鎧は完全に水晶から出てきた。それは人の形をとり、どこかへと消えていく。 消える直前に目の前にいた人が睨まれた様な気がした。もちろん目も無ければ人型なだけだが、威圧感だけはしっかりと残していった。 呆気に取られる栞とあゆ。それでもともかく祐一を封じ込める事は出来た。 「と、とりあえずは、うまく行きましたね。」 「そ、そうだね。最後のあれが無ければね……」 あゆと栞はなんだか気まずそうに黙った。あの言葉を聞いたのはこの二人だけだった。 皆がここに集まってきている。一番初めに口を開いたのは浩平だった。 腕を上に挙げ、伸びのポーズを作りながら、もう疲れたという感じで話し始める。 「さって!俺達はエターナルに帰りますか!」 「そうね。」 「浩平が自分から身を引くなんて珍しいね。」 「そんな事無いぜ。ともかく、これから後は、俺達のしゃしゃり出て良いことじゃないだろうしな。」 「あら、折原にしては珍しく、ちゃんと弁えてるじゃない。」 「珍しい……明日は雨だね……」 「な、なんだと〜〜!!」 浩平が瑞佳に文句の口上を垂れている。それに苦笑しつつ、留美は往人に言葉を振った。 「国崎さんたちはどうするのかしら?」 「そうだな……」 「往人さん、お母さんどうしようか?」 「晴子の奴と合流してからエターナルに戻る、観鈴、それで良いか?」 「うん!」 「というわけだ。」 「分かったわ。」 「道中、気をつけてな。」 「あら、そん所そこらの魔物には負けないわよ?」 「いや、折原の奴だ。気をつけるのは。」 「そうね……」 「にはは」 「じゃあ、失礼するわ。皆さん元気でね。」 がすぅと浩平の後頭部を強打して気絶した浩平を引きずりながら去る留美に瑞佳。 残っているメンバーは、浩平の身を案じつつ、手を振っていた。 「美汐様、これからどうしましょうか?」 「そうですね……」 「美汐さん、一緒に学院のほうに戻ってもらえないかしら?」 「あぅ、飛鳥。どうして?」 「残った兄が心配ですので……腐っても兄ですしね。」 「そうですね。そうしましょう。良いですか?真琴に幸大。」 「美汐がそうするなら。」 「文句なんてありません。」 「では、報告も兼ねて学院に戻ります。後はよろしくお願いしますね。」 学院に戻る事を相談し始めるメンバー達。美汐たちは学院に向けて歩き出した。 そんな美汐たちを見て、北川が一弥に帰還をすすめた。 「なら、俺達も戻ろうか、一弥。俺はくたくただしな。」 「でも……」 「お前、怪我してるだろ?足手まといとは言わないが治療をしてこようぜ。」 「……そうですね。姉さん達はどうするんですか?」 「残る。」 「はぇ?舞、どうして?」 「……気になる事が有るから。」 「じゃあ。恵は舞の中で寝てるね。」 「佐祐理も残る事にします。一弥、無理しないで戻って治療を受けてくださいね。」 「分かったよ姉さん。姉さんこそ無理しないで。」 往人が戻ろうとする北川と一弥に声をかけた。 「すまないが、学院についたら晴子の奴にここまで来るように言ってくれないか?」 「晴子って?あの烏か?」 「そうだ。悪いが頼めるか?」 「あぁ、任せておけ。」 「確かにお願いされました。」 「にはは、お願いします。」 そうして、祐一の前に残ったのは、香里、名雪、栞、あゆ、舞、恵、佐祐理、往人、観鈴。 恵は舞の中に戻っているのでこの場に見えない。 栞が、残ったメンバーを見回して咳払いを一つした。 「では、これから祐一さんの中に入るメンバーを選抜します!」 皆がはぁ?っという顔をしている。舞だけが筋肉痛に顔を顰めていた。 いつもなら、恵が出てきても、おかしくないタイミングだが恵は出てこなかった。よほど消耗しているらしい。 話は戻るが栞の言っている事は、説明が不足というかなんと言うか。もう突然の事なのだから訳が分からない。 慌てて、栞は追加の説明を始める。 「正確にはですね。祐一さんの心の中に入るという事ですね。」 「そんな事が可能なのかしら?」 「私には出来ます。」 一体何処からそんな自信が湧いて出てくるのか分からないが、栞は言い切った。 「入れるメンバーは精霊を含めて6人です。ですから私は必ず行きますので、あと2人ですね。」 「……私は残る。」 「舞?どうして?」 「私が行くと、恵も行きたがる。というか、絶対についてくる。」 「そうなの?舞。」 「絶対にそう。それに、さっきの白い塊が戻ってくるような気がする。だから警護に残らないと。」 「舞が残るのなら佐祐理も残りますね〜。」 「俺達は行く理由が無い。」 「そうだね。往人さん。」 「僕は行きたいけど……封印の一部を担ってるから……行きたいけど……行けないよ……」 悔しそうな顔をするあゆ。それを慰める佐祐理に舞。 結局、なし崩し的に行くメンバーは香里、栞、名雪の3人になった。 舞が思い出したように口を開いた。 「……それにしても、あゆ、さっきの白い塊は何?」 「うぐぅ……よく判らないんだよ……」 「栞は?」 「祐一さんを見てもらえますか?」 そう言いながら祐一を指差す。そこには鎧を装備していない祐一が居た。 栞以外のメンバーが目を丸くした。 「さっきの塊は……鎧なんですか?」 「でも、そんな鎧って有りますか?」 「……栞、何か知っているなら話す。」 「私だって全部わかっている訳ではないんです。でも……推論だけなら……」 「それで良い。」 「祐一さんは魔力を抑えていたんでしょう。あの左腕の包帯によって。」 「……そうかも。」 「毎日、いえ毎分でしょうね。膨大な魔力をそこから吸い出されていたんだと思います。」 「それが関係あるの?栞。」 「ありますよ、お姉ちゃん。魔力を蓄えたものに精神が宿るって事は知ってますか?」 「あ!それ知っているかも、魔剣とかで意志をもっているものがあるって聞いたことがあるよ。」 「でもそれは、長い時間をかけて魔力を貯めた結果ではないですか?」 「一概にもそうは言えないんですよ。だから祐一さんの魔力に反応して自我を持ったとしか……」 ここでお終いとばかりにため息をつく栞。と言っても、困ったことには変わりない。 もしかすると先ほどの白い塊が戻ってくるかもしれないのだから。 何者かという結論は出ないが、やる事は分かっている。 「ともかく、佐祐理達の味方ではないようですね。」 「たぶん。」 「ともかく、栞さん達が入っている間に僕達はここを守れば良いんでしょ?」 「はい。あゆさん、その通りです。」 「先輩方に、あゆちゃん。よろしくお願いします。」 「私からもお願いします。」 「はい、任されましたよー。必ず祐一さんを取り戻してくださいね。」 「「「はい!」」」 名雪の心配そうな声に、佐祐理が代表として答えた。これならば安心と言う顔で3人は元気よく返事をする。 その返事を聞くか聞かないかのタイミングで舞は祐一の封印されている物は水晶だと思って手を触れた。 そのとたん、ぺちょっと手がその中に沈みこむ。 「!!!!!」 この世の物とは思えないその感触に舞は慌てて手を引っ込める。 その慌てた顔を見ていた佐祐理にあゆ、往人に観鈴は思わず吹き出してしまった。 祐一の心の中に入る3人組はそれを見ていなく、真剣に話し合いに入っている為見ていなかった。 舞の目は潤み、今にも泣きそうである。佐祐理はちょっと困った顔をしてしまった。 「舞?どうしたの?」 「……怖かった。」 「ふぇ?そんなに怖いものなの?」 佐祐理がそれを触ろうとして、涙目の舞がそれを阻止する。 舞に対して、佐祐理はどうして?という顔になった。 「駄目。この世の物じゃない。」 「え?でも……」 「絶対に後悔する。」 「そうなの?」 佐祐理の問いかけに舞は首を縦にがくがくと揺らした。 その異常な反応に佐祐理はそれを触る事を諦める。 「ちぇ。」 なんだか残念そうな舌打ちをする佐祐理。本当に残念そうだった。 舞達が祐一の封印された何かに触って騒いでいる間に栞たちは相談に入っていた。 気持ちを切り替えて香里と名雪に向かう栞。その顔は先ほどまでのものよりも数段真剣だった。 「それでは、祐一さんの心の中に入る説明をしますね。」 「お願いするわ。」 「まずこれだけは守ってください。中に入ったときに何に触れてもいけません。」 「分かったよ。」 「次に、心の中に入るのは精神のみです。そこで死ねば、外の肉体もいずれ死にます。」 「分かったわ。」 「入るのは難しいですが、出るのは簡単です。自分の体を強く意識すれば自分の体に戻る事が出来ます。」 「他には?」 「他は中に入ってから説明します。そちらの方が良いでしょうから。」 「どういう事なの?」 「それは入ってからの方が分かりやすいですよ。お姉ちゃん。」 妹のその一言に納得するしかない香里はちょっと悔しそうだった。 「じゃあ、いきますよ。」 名雪と香里はその一言を聞き終わる前に意識が闇へと沈んでいった。
技説明 最終封印・月牢:第一段階で精神を封印。第二段階で動きを封印。第三段階で体全体を封印する。 水晶のような物はゲル状の物で、触れるもの全ての行動を止めようとする。舞が驚いたのこのため。
あとがき なんとか、と言いますか、無理やり詰め込んだ感じが否めないです。 ともかくこれで次から書きやすくなると思います。と言ってもまだ先のことが固まりきっていないので…… どんな展開にしようか悩んでいる所です。でも頑張りますから、見捨てないでくださいね。ゆーろでした。
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