Fate/snow night 雪降る街の幻想曲





一章 教会と聖杯戦争の管理者





 衛宮の屋敷を出て、大通りへ。そこから深山町の商店街を越えて新都方面へと繋がっている冬木市最大の大橋

――確か、『冬木大橋』とかいう名前だった筈――を渡り、新都の街中を目もくれずに進む。目的地は聖杯戦争

の管理を行っている人物のいる、新都の郊外にある教会だ。



「遠坂あとどれくらいだ?」



 最近、物騒なニュース――今になって、それが聖杯戦争関係の事件だと気付いた――が放映されていたせいか、

元々人通りが少ない場所もさらに人気がなくなっている。ただでさえ、新都の街中でも人をあまり見かけなかっ

たと言うのに、こんな街外れに人がいるわけがない。



「もう少し掛かるわよ。なにせ、新都の外れにある教会だからね。かなり遠いのよ」



 先頭を歩く遠坂が、振り返りもせずに答える。声の様子から、あちらもかなり面倒だと思っているようだ。そ

の遠坂の後ろを、俺と士郎、そしてセイバーの三人は横一列に並んでついていく。

 そういえば、秋子さんから聞いた事があったな。新都の外れには教会があって、外人墓地がありそこの神父が

懺悔、遺体の埋葬などをしていると。にしても、教会の神父が聖杯戦争の管理をしているなんて変な話だ。教会

の人間と魔術協会の人間は互いに忌み嫌っている筈なのに。

 ……あー、そういや爺さんが聖杯戦争の管理は教会と協会が合同で行っているとか言ってたか。眉唾だと思っ

てたけど、本当だったらしい。



「あそこ、か……」



 と、士郎は何故かいきなり表情を暗くしてそう呟いた。



「知ってるの?」



 歩くのをやめて、遠坂が振り返る。



「……ん、ほら。あそこって十年前の大火災で焼け出された子供とか、孤児とかを引き取って世話してるって話

だろ。ちょっと、色々思い出して……な」



 何だか、少し顔色が悪いように見える。やっぱり、学校でランサーにやられた時の傷か痛みがまだ残ってるの

だろうか、と不安になる。



「士郎、大丈夫か?」



 気分が悪いのなら、肩を貸そうと言うと士郎は苦笑しながら首を横に振る。気分が悪いと言うか、ちょっと行

くのが辛いだけだというので、納得して歩き始める。



「さ、後はこの坂道を登ればすぐよ」



 暫く歩き、真っ直ぐゆったりと続く長い坂道を指差す。まるで、この先は天国とでも言わんばかりに先が見え

ない。多少住居があるとはいえ、こんな真夜中に電気がついている家などない。

 いなくなってしまった<かのようにシン―――と静まりかえっている。

 士郎を促して、俺達はその長い坂道を登りはじめた。……長い、長い坂道を。



(って、何考えてるんだか)



 変な事を考えて、俺は一人苦笑する。軽い傾斜からゆっくりと急な傾斜に変わっていき、肉体の疲れよりも精

神的にかなりきつい。

 坂道を完全に登りきると、外人墓地がその姿を現す。死者達が安らかに眠る、その人がこの世に存在していた

という事を証明する墓石モノ。神聖な場所……とまでは言えないにしろ、人の手で汚されるべき場所ではない。

 その墓地の少し先には、静かに鎮座する教会がある。しかし、それが『本当に教会と言えるのか』疑問に思わ

れる。



「さ、ここよ」



 遠坂が目の前に立つ教会を指差す。否、果たしてそこは本当に教会なのか。少なくとも、教会という建物は神

聖な空気を纏っているモノであると、俺は思っている。

 しかし、目の前に鎮座する教会からは嫌な空気しか感じられない。一刻も早く、この場を立ち去りたい……そ

んな思いが胸を渦巻く。



ココニイルノハオレタチノテキダ。ケイカイヲオコタルナ



 俺の頭の中で、俺自身の勘と『七夜』の意識がそう訴える。退魔衝動から生まれでた『七夜』の意識までもが

こうも反応するなんて……沸き立つ胸の鼓動を抑えるように右手で左胸を抑える。



「…初めて来たけど、何か嫌な所だな」



 嫌悪の感情……それも相当な度合いの嫌悪を初見の印象で抱いた俺は、素直にそう感想を述べた。

 それだけではない。何か、妙な圧迫感が俺を襲う。あからさまな敵意を剥き出しにして、俺は教会を睨む。



「ま、私だって好き好んでアイツになんか会いたくないわよ」



 そんな俺の言葉に同意するように、遠坂がうんざりした表情で答える。



「……ここの神父と、知り合いなのか?」



 教会の神父と魔術師が知り合いっていうのは珍しい。魔術師協会と教会は互いに反発しあってるから、仲良く

するどころか殺し合いを始めてもおかしくない。代行者と魔術師は、犬猿の仲と言ってもいい。

 まぁ、アルクェイドとシエルさんの場合は喧嘩するほど仲が良いというか真祖の吸血鬼と教会の代行者であり、

同じ人物に惚れているのもあって仲良くする事は出来なさそうだが。



「えぇ。元々は父さんの弟子で、私の兄弟子。何の因果で教会側についたんだか」



 遠坂の兄弟子……。言っちゃ悪いが、一筋縄な人じゃないだろう。遠坂がこの性格だ、その人はもっと変な人

物なのかもしれない。もしくは、この教会を根城としている人間ならば、俺の敵になる可能性もありうる。

 あんまり、必要以上に関わり合いになるのは避けたい所だ。



「……何か失礼な事考えてない?」



 ジト目で俺を睨みつけてくる。心の中を見透かされたような感じがして、俺は背中が寒くなるのを覚えた。



「そ、そんな事ありませんじょ?」



 遠坂は鋭い、鋭すぎる。ていうか、どうして俺の周りにいる女の子達はこうも鋭いんだ? それとも、俺が分

かりやすいだけなのだろうか?

 そういえば、三咲町にいた時も翡翠さんや琥珀さん、秋葉ちゃんに色々と図星をさされまくった記憶がある。

シオンの場合は俺の思考をエーテライトで読み取ってるから例外だ。有線式のサトリとも言える。いや、奴は有

線式のサトリで決定だ。



「…私はここで待機しています」



 不意に、士郎の横についていたセイバーがそう発言する。



「あれ、セイバーは行かないのか?」



 てっきり、マスターの士郎を護る為についていくとばかり思っていたが。



「はい。安全の確保の為に、私はここに残ります。アーチャーのマスターとユウイチを信用して、シロウを任せ

ます」



 鎧の上に、黄色のレインコートを着込んだセイバーが言う。いくら人通りがないとは言え、鎧姿の女の子が歩

く姿なんて目撃されれば非常にマズイ。そんなワケで、姿が隠せそうな服を探したのだが、元々衛宮家には女性

なんて住んでいない。女物の服があるわけがなかったのだ。

 それで打開策としてレインコートを着させている。しかし、こうして見るとテルテル坊主みたいで可笑しい。

せめて、もう少しマシなものはなかったのか、士郎。



「なら、私も残ろう。情けない事だが、この教会に入りたくないのでね」



 肩を竦めながら、アーチャーが実体化する。その言葉には、俺も同意したい。何故か分からないが、この教会

からは異質な気配が漂ってくるような感じがする。

 くそう……俺も正直、残りてぇ。



「じゃ、行くわよ」



 アーチャーが残る事に何の疑問も持たずに、遠坂が教会の扉に手を掛ける。扉の開く音が、夜の闇に響き渡り

恐怖を誘う。と言っても、本当に恐怖を感じているわけではなく、本能的なそう感じられるのだ。



「遠坂、ここの神父さんってどんな人なんだ?」



 扉を開いた先には礼拝堂。そこに入ってすぐ、士郎がそう喋りだす。俺の視線は礼拝堂の奥に奉られている石

像……マリア像に向けられている。あれの存在だけが、この場所が教会であることを示しているように見える。



「難しいわね。十年間付き合ってるけど、未だにアイツの性格は掴めないもの。それに、出来れば知り合いたく

なかったし」



 遠坂も、ここにいる兄弟子兼神父とは仲が良いわけではないらしい。それどころか、知り合いたくなかったと

まで言う。まぁ、俺が遠坂でも多分同じ事を思――――





「―――同感だ。私も、師を敬わぬ弟子など持ちたくはなかった」





 礼拝堂に足音が響き渡る。『それ』は、ゆっくりと俺達の前に姿を現した。

 黒い神父服を着込み、首には神父を神のみ使いと証明するような銀の十字架。格好だけを見るならば、その人

物は本当に神父であった。



殺せ……



 ――――だが、俺の中の退魔衝動があの現れた男を殺せと命じてくる。



殺せ……



 そんな事は出来ない。ここには、聖杯戦争に関する事を聞きに来ただけだ。それに、奴はこの聖杯戦争の管理

役。事後処理を担当する人間なのだ、何の関係もない。

 だと言うのに、胸の中で燻る退魔衝動はおさまるどころか逆にマグマのように沸騰し続ける。



 殺せ……。奴は危険だ。すぐに排除しろ。斬り、刺し、突き、屠り、抉り、穿ち、薙ぎ、完全に存在を消去せ

よ。斬刑に処し、極砕と散らし、惨殺し、捻じ曲げろ。

 首を、腕を、脚を、腰を、背中を、喉を、頭を、胸を、肩を、目を、心臓を、身体器官を殺せ。殺せ殺せ殺せ

殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺……!



(くっ……奴は教会の人間だ……反応する必要はない……!)



 全力で奴を狩ろうとする衝動を抑えつける。俺の中の退魔衝動とは、『魔』の気配を持つ者に対してや完全に

人という枠から外れてしまった者に対して反応する。それならば、こいつは人として何か外れてしまっているの

だろうか?

 いや、こいつは教会の人間だ。別段、反応してもおかしくはないのかもしれない。シエルさんに対しては衝動

が反応しなかったが、こいつだけに反応しただけだろう。この衝動のまま狩るのは駄目だ。こいつは、俺達と同

じ『狩る者』側なのだから。



「再三の呼び出しにも応じぬと思えば、変わった客を連れてきたな。……で、どちらがセイバーのマスターだ?」



 俺が必死で退魔衝動を抑えているのを露にも知らず、その元凶は威圧感を纏わせながら言葉を紡ぎだす。いや、

もしかすれば気付いているのかもしれない、と錯覚する。

 だけど、この衝動の反応は異常だ。ここまで反応する事など滅多にない。抑えつけようとしても、衝動はどん

どん強く反応していく。このままでは、本能のままにこいつを狩ってしまうかもしれない……。



「……俺だ。こっちは魔術師だが、マスターじゃない」



 士郎が自分がセイバーのマスターだと認める。だけど、士郎の言う事は間違いだ。俺は一応マスターの資格を

持ち、ランサーオーディンというサーヴァントを従えている。



「そうか。……名を何と言う」



「衛宮……。衛宮、士郎だ」



 憮然とした表情で目の前にいる人物に答える。士郎も何かしらこの人物に対して、良い感情を持っていないよ

うだ。俺と同じように思っていることが分かり、少し共感を覚える。



 ――――――ゾクッ



「っ……!」



 突然、退魔衝動の反応が今までの比にならないほどに膨れ上がる。急激に衝動が俺を襲い、本当に一瞬息が止

まる。



「衛宮……士郎」



 何がおかしいのか、目の前にいる神父は微かに顔を笑みの形に歪める。威圧感、得体の知れない空気……恐ら

く、それは恐怖なのだと思う。それが俺を包み込む。

 このままこの場にいれば、俺は完全に我を忘れてこの神父を狩るべく襲い掛かるだろう。今すぐにこの教会の

外に出る、その選択を選ぶしかない。



「遠坂、士郎、すまん。俺は外に出てる」



 そう二人に断りを入れて、俺は入ってきた入り口へと歩き出す。ドクン、ドクン、と心臓が激しく波打ち続け

る。歩きながら小さく息を吐き、なんとか落ち着こうと画策するが、うまくいかない。



「え? ちょ、どうしたのよ」



 追いかけてきて、怪訝そうな顔で俺を覗き込んでくる。そして、すぐ顔色を変えた。



「ちょっと、顔面蒼白よ? 大丈夫?」



 どうやら、顔に出ていたらしい。これは相当やばいようだ。こちらを気にかける遠坂になんでもないと首を横

に振り、話が終われば出てきてくれと伝える。

 その返事を聞く前に礼拝堂の扉を開け、外に出る。夜の冷えた空気を肺の中に送り込む。



「すぅ……はぁ……」



 ゆっくりと、二、三度ほど深呼吸をする。それで、少しは気分が落ち着いた気がした。それでもまだ、心臓は

まだ少し早く脈動しているし退魔衝動も消えてはいない。だが、少なくともあの教会の中、そしてアイツの前に

いるよりかは大幅にマシだ。



「……アイツは、人間だ。ちゃんと生きてる。ただ、教会の人間なだけ。なのに、ここまで退魔衝動が反応する

のは、何で……」



 俺の疑問に答える声は無い。唯一、答えてくれそうな『七夜』でさえ分からないのだ。ただ言えるのは、奴に

はあまり……可能な限り関わらない方が良い、と言う事だけ。教会に残した士郎の事は、遠坂に任せておけばい

いだろう。アイツがちゃんと聖杯戦争のマスターとしての知識を得るまでは、士郎の事を襲う気がなさそうだし。

 教会の前から離れ、セイバーとアーチャーが立っている場所まで歩いていく。



「……? どうした、相沢祐一。凛と衛宮士郎と共にいなくても良いのか?」



 俺に気付いたアーチャーが声を掛けてくる。空を見上げていたセイバーもこちらを向く。その緑の瞳に見つめ

られ、俺は少しドキっとする。

 俺の近くにはこんな神秘的な雰囲気を纏った女の子なんていなかった。慣れていないのだから無理はないかも

しれない。



「どうしたのですか? 貴方にはシロウの護衛を任せた筈ですが……」



 その言葉には、多少の非難が込められているような気がする。恐らく、可能性としては五分と五分、といった

ところか。俺の良心の呵責が生み出した幻と言う事もありうる。



「いや……聖杯戦争の管理人ってのが、ちょっと苦手っぽい奴でさ。退魔衝動まで反応しだすから、変なことに

なる前に出てきたんだ」



 その退魔衝動も、今では大分治まっている。要領を得ない、俺の物言いにセイバーは怪訝な表情を浮かべるが

すぐに表情を消す。変に探りを入れらないから、楽でいい。

 セイバーはマスターである士郎の事を気に掛けている様子だが、あの神父はともかく遠坂の事は信用できる。

何せ、切り札である宝石まで使って助けてくれたんだ、複雑な心境だろうが助けた人間を自分で殺す、なんて奇

怪な事はしない筈だ。変に情に脆いところがあるみたいだし。

 でも、自分ではそれを否定したいみたいだがな。人間、根本的な所を改善しようとしても中々出来ないものだ。



「相沢祐一。少し訊きたいのだが……」



 俺よりも背が高いアーチャーが、見下ろすように俺に語りかける。俺も相当背が高いと思うが、アーチャーは

さらにその上を行っている。ランサーもかなり背が高かった。何だか、自分の背が低いのではないかと心配にな

る。

 しかし、それより先にアーチャーに対して言うべき事がある。



「なぁ、いちいちフルネームで呼ばないでくれ。普通に祐一でいい」



 あまり、苗字で呼ばれたりするのは好きじゃない。俺個人としては、『相沢』の姓はあまり良い想い出がない

のだ。呼ぶ人間によっては許可するが。



「ならば、祐一。お前の血筋である七夜……だったか。それについて教えてはくれまいか? 私達は聖杯からの

情報によって、現代の知識は供給されるがそれ以外については」



「ほとんど情報がない。もしくは、何も知らない、か」



 そうだ、とアーチャーは頷く。でも、サーヴァントとして召還されて現世に舞い戻りそこで新たな知識を得た

としても、役目を終えサーヴァントの任を解除され英霊の座に戻れば、全て白紙に戻ると爺さんから聞いた事が

ある。……全部爺さんからの情報ってのが情けない。

 でもまぁ、別に教えたって問題はないか。セイバーも興味がある、といった表情を見せているし。



「そうだな……俺も詳しくは知らん。だけど、七夜は大昔から存在した退魔の家系だったらしい。何でも、四大

退魔家系の一つだったとか。両儀、浅神、不淨、七夜。それが四大退魔家系と呼ばれていたって親父から聞いた

ことがある」



 だけど、その四つの内『浅神』、『不淨』、『七夜』は実質滅んでいる。『浅神』は純粋に跡継ぎが無くなっ

た為に没落、『不淨』と『七夜』は遠野一族……否、遠野槙久の身勝手な考えによって滅ぼされた。今じゃ、ま

ともに残っているのは『両儀』だけらしい。

 青子さん――最初の頃は、名前で呼ぶと問答無用で殴られた――から、青子さんのお姉さんの所にその両儀の

子供が出入りしていると訊いた事がある。



「両儀……陰陽道で言う太極の事か。太極と言う事は、陰と陽両方が存在する。ならば、その家系に生まれる者

は……」



「二重人格者……心にもう一人の自分がいる解離性同一性障害者の発現が頻繁にあったらしいな。だけど、俺に

は普通の人間の方が異常者に思えて仕方ないよ」



 人間であり、少々語弊があるとはいえ魔術師でもある俺からそんな言葉が出るとは思わなかったのだろう、セ

イバーとアーチャーは面食らったような表情をする。



「何故、そう思うのですか?」



 問われる。その問いにすぐに俺は答える事が出来ない。数秒の沈黙の後に、俺はぽつぽつと自分なりに思って

いる事について語り始める。



「ん……。過去の英雄達……セイバーやアーチャー達は、過去に自らの正義や理想を叶える為、自己防衛の為に

にに人を殺めてきただろう?」



 俺の言葉に静かに頷くセイバーと、少々躊躇しながらも頷くアーチャー。



「だけど、今では理由もなしに人を殺す人間がいる。魔術師、一般人関係なく。ただ、快楽を得る為、金が欲し

いだけとかに人を殺すのは理由がないのと一緒だ。理由のない殺人はもう殺人じゃない。……ただの殺戮だ」



 多少の侮蔑と悲しみ、怒りとやるせなさを込めて独白する。その俺の姿を見てセイバーは眉を顰め、アーチャ

ーは無表情に俺を見つめる。快楽の為に人を殺す、一部の死徒がこれに当て嵌まる。

 遥か太古、真祖がまだ世界に多く存在していた時には、ただ娯楽の為だけに真祖達は人間の血を吸っていたと

アルクェイドから聞いたことがある。ただの暇潰し……たったそれだけの為に、死徒という哀れな吸血種が生ま

れてしまい、生きる為に人の血を吸い、そして死者が生まれる。


 ――――なんて、悪循環。


 死にたくない、生きたい、死ぬのは怖い、生きていたい……ただ生存する為に死徒達は血を吸う。そこには、

決して悪の意志は存在しない。だが、それでも俺はそれを見過ごす訳にはいかない。

 目の前にいる人を、ただ助けたい。それだけの事だ。

 ……たくっ、どうしたんだ今日の俺は。さっきの神父にでもあてられたか?



「……すまん、変な事言ったな」



 バツが悪そうに、俺は後頭部を引っ掻く。いつもの俺らしくない。やはり、今日は何かの厄日なのかもしれな

い。いや、近頃の俺は確実についていない。今年は俺にとってのアンラッキーセンチュリーらしい。



「いや、お前の言う事は間違いではない。――理由なき殺人は既に殺戮か……、なるほど。確かにその通りだ」



 何か達観したような表情で、虚空を見るアーチャー。寂しい……いや、諦めか? そういった感情が流れ込ん

でくるようだ。

 しかし、すぐにその表情も消え先程までのように無表情へと戻る。



「……ユウイチ、貴方はシロウと同じく魔術師としては未熟です。ですが、人間性に関しては非常に素晴らしい

人だと思います」



 中々に嬉しい事をセイバーは言ってくれる。だけど、俺には勿体無い褒め言葉だしそれを言われる資格もない

だろう。



「……そうでもないよ。俺だって、色んな罪を背負って生きているんだから」



 俺を買い被っているセイバーから目を逸らし、夜空を見上げる。そう、俺はそんなに立派な人間じゃあない。

名雪、あゆ、舞達を悲しませてしまった。それは、決して消える事がない俺の罪。



(一生その罪を背負い続け、贖いをするのが俺の勤め……なんだ)



 空に光り地上を照らす星達と、遙か太古から現世を照らし続け幾多の歴史を見続けてきた月を見ながら、俺は

そう小さく呟いた。



[interlude3−3]



 祐一が出て行って暫く経ち、士郎は教会の神父――言峰綺礼から聖杯戦争の事項について全てを訊き今、マス

ターとして聖杯戦争に参加するかの返答を迫られていた。



「して、衛宮士郎よ。お前は聖杯戦争に参加するのか? その覚悟が無ければ、今ここでその令呪を消そう。そ

して、平穏に戻るがいい」



 言峰綺礼の言葉は、衛宮士郎を不愉快にさせる。それに反発したいからかもしれない。だが、決してそれだけ

ではない。

 ――衛宮士郎は魔術師だ。それが半人前で、強化の魔術しか使えなくとも、魔術師である事に変わりは無い。

そして、憧れ続けた理想……衛宮切嗣が夢見た『正義の味方』になると決めた。



 故に――――――



「――マスターとして戦う。十年前の火事の原因が聖杯戦争だっていうんなら、俺は、あんな出来事を二度と起

こさせる訳にはいかない」



 士郎の言葉に、言峰綺礼は笑みを浮かべる。どこか壊れた、そして歪な歪んだ笑みを。



「では、君をセイバーのマスターとして認めよう」



 言峰の右手が顔の高さまで上がり、厳かに教会内に彼の声が響き渡る。



「――これよりマスターが残り一人になるまで、この街における魔術戦が許可された。各々が自身の誇りに従い

存分に競い合え」



 言峰綺礼の言葉が、礼拝堂に響き渡りそして消える。その瞬間から、今回で第五回目となる聖杯戦争の開始が

宣言された。

 聖杯戦争に参加するマスターは七人。そしてサーヴァントは七騎。残った一組が、聖杯戦争の勝者となり聖杯

を手にする事が出来る。人間の情など介入する余地のない、あまりに醜く悲しい殺し合いが、これから始まる。



「じゃあ、これで終わりね。もうここに用は無いわ」



 有言実行、凛はほんの一時でもこの場にいるのは嫌だと言わんばかりに、赤いコートを翻し礼拝堂の入り口へ

と早足に歩き出す。



「ちょ、遠坂。アイツは兄弟子なんだろ? だったら」



 言峰は確かに気に入らないが、凛にとっては兄弟子なのだ。積もる話があると士郎は思ったのだが、凛にはそ

のつもりは無さそうである。士郎の言葉に、凛は立ち止まり、



「別にいいわよ。言ったでしょ? 縁が切れるなら清々するって」



 そう言い切った凛は、不機嫌そうに再び扉へと歩いていく。傍若無人と唯我独尊という言葉が士郎の脳裏に流

れる。溜息を漏らし、士郎もその後へ続こうと――



「っ――!」



 後ろに気配を感じ、ばっと振り返る。そこにはいつのまに近付いてきたのか、言峰綺礼が士郎を無表情に見下

ろしていた。



「な、何だよ。まだ何かあるのか?」



 やはり、衛宮士郎は言峰綺礼が苦手だ。理由は判らないが、衛宮士郎と言峰綺礼は永遠に理解し得ない。士郎

はそう断言できる。

 衛宮士郎を光とするならば、言峰綺礼は闇だ。光と闇は表裏一体。永遠に交わる事はない。言峰神父の視線を

振り払うように、出口へと向かう。凛の言う通り、あまり深く知り合いたい奴だとは思えない。もう、二度とこ

の場に来るものかと士郎は心中で呟く。

 そんな士郎に、言峰の声が掛かる。




「――――喜べ少年。君の願いは、ようやく叶う」




 その言葉を聞いて、士郎は立ち止まった。いや、立ち止まらずをえなかった。

 彼が放った言葉には、別に衛宮士郎を強制するような暗示や言霊は込められていない。しかし、それとは関係

なく、士郎は言峰が言った言葉にひどく胸を締め付けられる。



「―――なにを」



 言っている、と続けようとして士郎は異常に喉が渇いている事に気付き、その先が口に出来ない。何か、得体

の知れないモノが衛宮士郎という人間を圧迫している。それが、言峰綺礼から発せられているのは明らかだ。



「判っている筈だろう。明確な悪がいなければ、君の望みは永遠に叶わない。たとえそれが君にとって容認しえ

ぬモノであろうと、『正義の味方』には『倒すべき悪』が必要だ」



「っ……」



 ―――――――――その言葉は、衛宮士郎の心を侵食する。

 彼は言う。“正義の味方として活躍する舞台が出来て良かったな”と。衛宮士郎にはそれが許せなく、しかし

反論する事もできない。何故ならば、言峰の言う事は士郎の願いを叶える為には必要な物なのだから。

 『正義』が存在するならば、それに相反する『悪』が必ず存在する。でなければ、『正義』という言葉はその

存在理由レーゾンデートルを失い消えてしまう。



「お、まえ――」



 鼓動が早くなり、息苦しい。言峰綺礼に対する感情が、苦手からはっきりとした敵意に変わる。我知らず、言

峰をぎっと睨みつける士郎。彼にしては珍しいほど、憎悪や反抗心といった負の感情を込めて相手を見ている。

だが、今の士郎にはそんな事はどうでも良かった。言峰に対する敵意で、頭の中が一杯なのだから。



「取り繕う事はない。欲望は人間として当然の事だ。それが例え、歪んだモノであろうとな」



 耐え切れず、士郎は出口へ向かう。ぎぃ、と言う音と共に扉が閉まり礼拝堂には言峰綺礼、ただ一人が残る。

否、この教会にいるのは言峰綺礼一人ではない。



「……ランサー」



「あ?」



 言峰綺礼が呼びかけると、そこには数時間前、祐一と士郎を襲ったサーヴァント・ランサーが現れた。ランサ

ー……クー・フーリンのマスターは、言峰綺礼。

 監督役は、聖杯戦争においては完全に中立となり事後処理に徹する為に存在する。その監督役がサーヴァント

と契約しているというのは、完全にルール違反だ。だが、もう一体のランサーが存在しているのだから、もう既

に規定のルールから外れている。



「あの最初に出て行った少年がお前の言った人物か?」



 最初に教会を出て行った人物―――祐一の事だ。



「あぁ。アイツは人間だからといって油断しちゃならねぇ。下手すりゃ一杯喰わされるぞ」



 そう言うが、その表情は酷く楽しそうだ。完全に祐一を自分の倒すべき敵として認識し、思う存分戦いあえる

唯一の人間。サーヴァントほどではないにしろ、自分が相当楽しめる戦いになるだろうと、ランサーは思う。



「ふむ、あの眼。ある種の絶望をみた眼だ。その傷を開き、あの少年に見せ付ければさぞ絶望に打ち震えるだろ

うな……」



 歪んだ笑みを浮かべながら、言峰綺礼は奥の部屋へと消える。そんな彼の後姿をランサーはまさに視線で人が

殺せるのではないかと思うほど、睨みつける。



「言峰、もしあいつ……俺の獲物を『壊してみろ』。その時は―――俺がお前を殺す



 その顔を嫌悪感で歪め、ランサーは自身の実体化を解き霊体へと戻った。後に残るのは静寂に支配された礼拝

堂の静けさのみ。その様子は、教会の名に相応しい厳粛さが漂っていた。



[interlude out]



 あの管理役の話が終わったらしく、遠坂が教会から出てくる。しかし、その後ろには士郎はついてきていない。



「遠坂、士郎は?」



 へ、と遠坂は変な呟きを漏らし後ろを振り返る。士郎がついてきていない事に気付いていなかったようだ。と

いう事は、士郎は今、あの神父と二人きりって事か?

 ……不安だ、とてつもなく不安だ。落ち着きなく、同じ場所を行ったり来たりして時間を潰す。遠坂にはうろ

ちょろせずに待っとけと言われたが、あの神父と一緒に居る事を考えればそんな悠長な事は言っていられない。

今にでも突入して士郎を救出せねば。



「……あ、出てきたわ」



 ばっと教会の扉へと目をやる。静かに扉が開き、士郎の姿が現れこちらへと向かってくる。

 それに安堵する。どうやら、俺の心配は杞憂だったらしい。いくらあの神父が正体不明でも、今のアイツは聖

杯戦争の管理役だ。危害を加えるような事はしないか。



「……」



 教会から出てきた士郎は、ここに来た時と少し様子が違ったような気がした。それが何かなのかまでは分から

ない。だけど、ここに来た事は士郎にとっては悪い事ではなかったと思いたい。

 セイバーが緊張の面持ちで士郎を見ている。士郎がマスターとして、魔術師として戦う覚悟を持って聖杯戦争

に参加するかどうか、気になっているんだろう。



「セイバー、俺はマスターとして聖杯戦争を勝ち抜く。協力してくれるか」



 決意の表情で士郎は、自身のサーヴァントであるセイバーに尋ねる。勿論、その士郎の問いに対してのセイバ

ーの答えは決まっている。



「……はい。私は貴方の剣となると誓った。その誓いは、破られる事はない」



 右手を自身の胸に当て、セイバーはもう一度士郎との『契約』を交わす。こうして、士郎も聖杯戦争へと本当

に参加する事になった。ん〜、祐ちゃん仲間外れな感じ。

 まぁ、それはともかく。今現在、マスターとサーヴァントの組み合わせが分かっているのは

 衛宮士郎。サーヴァント・セイバー。

 遠坂凛。サーヴァント・アーチャー。

 相沢祐一。サーヴァント・ランサー。

 と言った所だ。前日戦ったライダーのマスターは分からない。それ以外のサーヴァントに関してはまったく情

報がないが、それはまぁおいおい分かっていくだろう。



「士郎、俺もお前に付き合せてもらうぞ」



 俺とてマスターの一人だ。このまま参加せずに状況が過ぎていくのを見つめているだけなんて出来ないし、聖

杯戦争というモノには興味がある。それを、自分の目で見極めたい。それに、士郎が戦って死んでしまうかもし

れないのに、黙って見ている事なんて出来るものか。

 しかし、士郎は驚きの表情を浮かべる。何故?



「祐一は関係ないだろう。わざわざ巻き込まれなくても……」



「無理だな。俺はランサーに目をつけられてる。ここで引いたとしても、巻き込まれるのは避けられない。それ

なら、一緒にいた方が安全、だろ?」



 俺の言葉に反論しない……否、出来ない士郎。こいつも俺がランサーに敵として認識された事を分かっている

のだ。今のこいつの心境を予想するに、俺のせいで祐一を巻き込んでしまった……などと思っているのだろう。

 それはない。士郎に関わらなくても、俺は聖杯戦争に参加していた。



「……よろしく、してもいいか? 祐一」



「遠慮なんかすんな。大丈夫、取って喰うわけじゃあるまいし」



 俺の冗談に士郎が軽く笑う。士郎に嘘をつくのは心苦しいが、まだ現状が把握出来ていない今、さらに混乱す

るような情報を晒す必要はないし、俺にとって何かと都合が良い事もある。

 それに俺もランサーも、別に聖杯に叶えて欲しい願いなんてない。戦うとしても、最後辺りだろうか。その時

は、こっちも遠慮なく戦わせて貰うけど。



「はぁ……。何かやりにくくなるわね、貴方達が相手だと」



 暫く俺達を見守っていた遠坂がぽつりとそう呟いた。その呟きに士郎が反応する。今の遠坂の言葉の意味が理

解できないような表情をする。



「なんでさ? 遠坂は一緒に戦わないのか?」



 それどころか、遠坂が既に自分達の仲間である事が確定しているとまで思っていたらしい。お人好しな士郎ら

しいと言えばらしいが、本当に魔術師なのかと疑ってしまう。



「……あのね衛宮君。貴方、綺礼の話を聞いてなかったの? マスター同士は敵同士。つまり私と貴方は敵なの。

判ってる!?」



 呆れつつ怒りながら、士郎に詰め寄る遠坂。怒れる大魔神とおさかの姿に、士郎は顔を引き攣らせ後ずさりする。呆れ

ながら怒るなんて、器用な奴だ。やっぱり遠坂は、香里と同じ種類の人間だ。

 俺の中で遠坂と香里は同属であると完全無欠に決め付けられた。この方程式はこの先、揺らぐ事はないと思わ

れる。



「それだったら、ここに来るまでの間に俺を殺す事も出来た筈だろ。じゃあ、何でそれをしなかったんだ?」



「うっ、そ、れは……」



 士郎いけにえからの予想外の反撃ツッコミに、今度は遠坂が後ずさる。なるほど、遠坂は自分の想定した以外の展開になった

場合のアクシデントに弱いと見た。ある意味、魔術師としては致命的だが、遠坂らしいといえばらしい。香里も

似たような所がある。



「はっはっは。遠坂嬢、お前の負けだ。別にマスター同士が協力し合うのも変な事じゃ無い筈だ。なら、最後に

決着を付ければいいだけだろ」



 ただ、その場合俺は士郎に加勢するけどな。いや、もしかしたらどちらにも加勢せんかもしれん。ダブルノッ

クアウトで、両者敗退させるって手段も存在している事だし。



「……ああもう! 判ったわよ! 私と衛宮君は同盟を組む。それでいい!?」



 ヤケになったのか、遠坂が喚く。んー、カルシウム足りてないのか? 煮干食え煮干。俺は牛乳は嫌いだが、

煮干とかは好きだ。だからこんなに寛大な心を持っているのだよ明智君。



「んじゃま、さっさと帰ろうぜ。睡眠時間が無くなるぞ」



 あはー、と割烹着の悪魔風に笑いながら歩き出す。そんな俺に慌てて士郎と遠坂もついてくる。無論セイバー

も一緒だし、アーチャーは霊体になって遠坂の傍にいる。

 行きに登った坂道を降りながら、緊張感のかけらもなく俺達は普通に話を始める。



「むぅ、秋子さんに怒られそうだな」



 予想以上に時間が掛かってしまった。既に時刻は二時を回ってしまっている。家の合鍵は持っているが、こん

な時間に帰るのは少し憚られる。

 何より、オレンヂ色のジャムが襲い掛かってくるのが怖い。



「そう言えば、相沢君って水瀬さんの家に居候してるんだったわね」



 遠坂も内心、俺や士郎と戦わなくて済んだ事をほっとしているのだろう。話し掛けてくるのは、いつも学校で

見ている遠坂……魔術師ではなく普通の学生としての遠坂だ。猫を被らない、ありのままの遠坂である。



「おう。俺が『こっち側』って事を知ってるのは秋子さんだけだ。それ以外の奴らは知らない」



 ま、秋子さんも俺が退魔の仕事をしてる事や、三咲町の死徒騒ぎの事は知らないけどな。変に心配掛けたくな

いし。後は久瀬か。アイツには色々と知られてるからな……。



「ふぅん……。ねぇ、相沢君のお母さんってどんな人だったの?」



 俺の母さん……? 遠坂の問いに俺は疑問符を浮かべる。その遠坂の質問に便乗するように、士郎も軽く手を

上げる。



「あ、俺も気になる」



「私も気になります。どのような母であれば、貴方の様な人間になるのか興味がある」



 ふむ……。俺の母さんがどんな人物だったか、ねぇ。結構難しいな……何しろ、十年も前に死んでしまったか

ら記憶に色々と抜け落ちがある。十年前と言えば、俺が八歳の時だ。あまりその歳の時の事は覚えていない。

 だけど、少しなら覚えている事ならばある。



「……魔術師としても一流だったし、母親としても一流だった。母さんから直接魔術を習った覚えがあるけど、

結局何一つ習得出来なかったけど」



 俺に直接指導する母さんの姿が、おぼろげに脳裏に浮かぶ。いくら教えてもらって使おうとしても何一つ使う

ことが出来なかった。その度に、母さんに申し訳なく思ったのだが、母さんはそんな俺を見て苦笑して抱きしめ

てくれるだけだった。



「どんな魔術を使ったんだ?」



「確か、宝石魔術と陰陽術の複合魔術だった。自分でよくオリジナル魔術を作っては、俺に見せびらかしてはし

ゃいでたな」



 年甲斐もなく、俺に魔術を見せて少女のようにはしゃぐ母さんの姿を微かに思い出し苦笑する。何か、本当に

懐かしいな……。十年……短いようで長いもんだな、月日が流れるのは……。



「凄いわね……。才能もピカ一、是非一度会ってみたかったわ」



 そういえば、遠坂が使う魔術も宝石魔術だったか。だとすれば、俺の母さんから師事するか会ってみて何か得

られる事があったかもしれない。今となっては、それも不可能な事で―――――



「―――大丈夫よ、すぐ会わせてあげるから」



 ――――背筋の凍るような、聞き覚えのない冷たい少女の声が聞こえた。



『っ!?』



 アーチャーが一瞬にて実体化し戦闘態勢に入り、セイバーも武装化する。俺達が立つ、道の先に二つの人影が

立ち塞がる。

 雲に隠れていた月が道を照らしだす。照らし出された先には小さな銀髪の少女。そして、



「こんにちは、マスターさん達」



「…………」



 圧倒的なまでの、死の気配が立っていた。


つづく




人物情報が更新されました。


言峰綺礼 ??歳 代行者
身長・体重 本編参照
使用魔術  不明

備考
聖杯戦争の管理を任されている教会の代行者。遠坂凛の兄弟子であり、ランサー
の本来のマスターであった魔術協会から派遣されたバゼット・フラガ・マクレミ
ッツから令呪を奪い、ランサーのマスターとなる。
酷く歪んだ価値観を持っており、一般の人間と違い他人の不幸を見る事を自身の
幸福と感じる。前回聖杯戦争の参加者だった、という経歴を持つ。




ステータス表が更新されました。


CLASS   ランサー
マスター   言峰綺礼
真名   クー・フーリン
性別   男
身長・体重   185cm  70kg
属性   秩序・中庸


筋力  B    魔力  C
耐久  C    幸運  E
敏捷  A    宝具  B

クラス別能力
対魔力  C  魔術発動における詠唱が三節以下の魔術を無効化。大魔
        術、儀礼呪法など大掛かりな魔術は防げない。


保有スキル
神性   B  神霊適正を持つかどうか。高いほどより物質的な神霊と
        の混血とされる。

ルーン  B  北欧の魔術刻印・ルーンの所持。

宝具
刺し穿つ死棘の槍(ゲイ・ボルク)  ランク:B  種別:対人宝具
レンジ:2〜4  最大捕捉:1人




後書きと言う名の座談会


祐樹「言峰とみんなのヒロイン、イリヤ登場」


祐一「ついにバーサーカー戦か……」


??「お兄ちゃん!」


どんっ!


祐一「ぐほっ!?」


??「えへへー。遊びに来たよ」


祐樹「おう、イリヤ。祐一に会いに来たのか」


イリヤ「うん。だってやっと登場出来たんだもん。いいでしょ?」


祐樹「別に構わんが……そろそろ離してやらないと祐一が死ぬぞ?」


祐一「…………(首に抱きつかれて、窒息寸前)」


イリヤ「きゃあ! お兄ちゃん、しっかりして〜!」


祐樹「…………さて、次回予告。ついにアインツベルンの刺客、イリヤとそのサーヴァント・バ

   ーサーカーと遭遇する祐一達。セイバーとアーチャーが応戦するものの、その強さの前に

   なすすべもない。その時、祐一に異変が!?」


祐一「じ、次章……サーヴァントと戦う俺の活躍によろしく……がくっ」


祐樹「なむ」


イリヤ「いやぁぁぁぁぁ!」


祐一失神により、後書き終了


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