Fate/snow night 雪降る街の幻想曲





七章 呪われし魔術師達の争い聖杯戦争





 ランサーは衛宮家の塀を越えて、夜の闇へと消えていった。それを追うようにセイバーもそちらに向けて走り

出す。止めようと俺も走り出そうとするが、セイバーは塀を越える事はなく脚を止める。どうやら、ランサーに

貫かれた部分の傷の治癒が終わっていないらしく、息が少し荒い。

 横を見ると、士郎がセイバーの下へと駆けていく。別段焦る必要もなさそうなので、俺はゆっくりと二人の下

へと歩きだす。



「―――お前、何者だ?」



 近くまで来ると、不意に士郎がそう切り出す。やはり何も知らないようで、自然と士郎の体勢はセイバーから

一線引くような感じになっている。

 そのセイバーを見ると鎧の破損は直っており、ゲイ・ボルクによって貫かれた部分の治癒もあらかた終わった

ように見える。



「何者も何も、セイバーのサーヴァントです。……貴方が呼び出したのですから、確認するまでもないでしょう」



 一瞬の動揺、しかしすぐにその感情は表情から消えうせる。確かに、士郎の左手にははっきりとマスターの証

である令呪が刻まれている。俺はランサー……オーディンのマスターであるから、セイバーのマスターは必然的

に士郎、という事になる。

 だけど、士郎と一緒にいたから分かるが召還のような物をした様子はなかった。にも関わらず、セイバーは召

還された……不思議な事もあるものだ。



「セイバー……のサーヴァント……?」



 怪訝な表情を隠そうともせず、士郎はそう確認するように呟く。それに頷くようにセイバーはこくりと頷いた。



「はい。ですから私の事はセイバーと」



 真っ直ぐと士郎を見つめながら喋る。そしてそのセイバーを見て、士郎は何故か顔を赤くする。しどろもどろ

になりつつも、何とか



「そ、そうか。変な名前だな」



 とだけは答えた。ふぅ、と小さく溜息をつく。

 やっぱり、士郎は聖杯戦争の事を知らない素人同然の魔術師だと言うのは間違いないようだ。強化しか出来な

い、と言っていたからまだ半人前なのだろう。

 にしても、魔術行使の際に何で魔術回路を作っていたのか。それが不可解でならない。



「士郎、セイバーって言うのはクラス名で、真名は他にある」



 勘違いをしている士郎に俺は、半眼で睨みながら呆れたような声で話しかける。とにかく、今はそんな事を考

えている暇はない。最優先すべきなのは、士郎に対して現状説明する事だ。



「真名? セイバーが名前じゃないのか?」



 まぁ、あながち間違ってはいないんだが……所詮は仮初の名前。英雄本人にはちゃんとした名前があるのだか

ら、人間で言う偽名になるのだろうか。



「違う。その調子だと、お前さっきの奴の事もランサーって名前だと思ってただろ」



「…………」



 図星なのか、士郎は押し黙ってしまう。少しバツが悪そうと言うか、図星を指されて拗ねているような表情だ。

 聖杯戦争の事を知らない魔術師……いや魔術師とも呼べない半人前が、聖杯戦争のマスターに選ばれた。他の

魔術師がこれを知れば、怒り、嫉妬、憎悪……そういった負の感情を士郎に対して抱くだろう。それだけ、他の

魔術師にとって聖杯戦争に参加するというのは意味がある。

 俺もある意味士郎と似たような物か……。半人前どころか、魔術自体が使えないんだから。



「……俺は士郎。衛宮士郎っていって、この家の人間だ」



 ……何をいきなり自己紹介してるんですか、衛宮さんちの士郎君。思わず、士郎の姿をあり得ない物を見るよ

うな目で見てしまう。その視線を感じたのか、士郎が悶え始める。



「いや、違う。今のナシ。俺が訊きたいのはそういう事じゃなくて、その、つまりだな」



 あー、と頭を悩ます士郎。見事に混乱している。しかし、それも当然か。

 学校ではランサーの槍に貫かれて殺され、死んだと思ったら生き返り家に帰れば再び自分を襲った正体不明の

奴が現れて、友人……即ち俺が自分と同じ魔術師だと知り、止めに自分をマスターと呼ぶ謎の少女。俺だったら

間違いなく、混乱どころか逆切れすると思う。



「……貴方は正規のマスターではないのですね。しかし、そう警戒しなくても構いません。仮にも私は貴方に召

還された者。裏切る事は決して」



 士郎を真っ直ぐに見つめて、セイバーはそう誓うように喋る。

 ……英霊には、英霊の目的がある。それを達する為に、彼らは聖杯という聖遺物アーティファクトを求める。その手段とし

て、世界と契約し英霊となり聖杯戦争に呼び出され、争い合う。ようは英霊達にとって、魔術師マスターとは自分の目的

を達する為の道具でしかない。にも関わらず、このセイバーは士郎を裏切らないと断言した。

 その点に関しては、俺はこのセイバーにかなり好感を抱いた。



「……俺はご主人様マスターなんて名前じゃない」



「ではシロウと。……えぇ、この発音は私にとっても好ましい」



 微かに微笑みながら言われた自分の名前を訊いて、士郎の顔が真っ赤に染まる。こんな表情を見た琥珀さんな

らば『あはー、衛宮さんの顔が真っ赤ですねー』とか言うだろう。

 こういう初心な男性をからかうのが、琥珀さんの趣味だからな。割烹着の悪魔と化した琥珀さんの姿を思い浮

かべた俺は、苦笑しながら士郎に助け舟を出す。



「セイバー、お前のマスターだけど聖杯戦争に関しての知識がないんだ。一から説明した方がいいと思う」



 聖杯戦争? と俺の横にいる士郎が疑問符を浮かべている。そのマスターにちらりと目をやり、セイバーはこ

ちらへと向き直る。

 別段、敵意があるわけではない。しかし、友好的な態度とは言えず警戒しているのが分かる。やはり、自分を

助けてくれたとはいえそう簡単にしようする筈もないか。



「どうやら、貴方の言う通りですね。説明は貴方から?」



「あぁ、ちゃんと聖杯戦争に関しての知識は得てる。後、そう警戒しないでくれ。俺は士郎の敵になる気はない」



 とは言っても、無理な話だろう。聖杯戦争では魔術師全てが敵だ。口約束、契約なんて物は破る為にあるとも

言わんばかりに、裏切りや闇討ちが行われていく。尤も、例外はあるだろうが。



「……今だけは貴方を信用します。しかし、もしシロウに危害を加えようとしたならば……」



 最後は言葉にせず、殺気をぶつけてくる。極限まで高められた危険感知が、条件反射で俺の身体を戦闘態勢へ

と移行させようと……するのを気合で引き止めた。冷や汗が全身を伝い、死の予感が俺の身体を這いずり回る。

 このセイバー……最良の強さを誇るというは伊達じゃない。殺気だけならば俺のランサーと同等かそれ以上だ。

一度戦えば数瞬で勝負は決まるだろう。殺気に押し潰されそうになりながらも、俺の視線はセイバーを見続ける。

額に嫌な汗が伝うが、拭う事もせずふっと不敵な笑みを浮かべてやる。

 俺の様子にセイバーは少し目を見開くが、すぐに無表情へと戻る。それと同時に殺気も霧散した。



「さて、ここにいると風邪引いちまう。中に……」



 入って説明しよう、と続ける筈だった俺の言葉は途切れた。何故なら、俺とセイバーが不意にランサーが去っ

ていった方向へ目線を向けたからだ。

 気配が二つ、こちらへと近付いてくる。魔力の流れから、これは……遠坂だ。となると、もう一つ微かに感じ

る気配はアーチャーの奴だろう。



「…シロウ。傷の治癒を」



 その方向に向きながら、セイバーは己のマスターに治癒をするように促す。だが、士郎は治癒魔術なんてモノ

は使えない。それは俺も同じだ。



「ち、治癒って言ったって、俺は強化しか出来ないんだけど……」



 申し訳無さそうにセイバーに言う士郎。その言葉に、セイバーは一瞬顔を顰める。



「……そうですか。……敵の数は二人、この程度の重圧ならば一瞬で葬り去れる」



 そう呟き、セイバーは塀を飛び越える。

 外にいるのが遠坂なのは間違いない。だとすれば……セイバーは倒そうとしているのは、遠坂とアーチャー。

まずい、白兵戦に持ち込まれればアーチャーには分が悪すぎる。アイツがやられれば、それはイコール遠坂の死

を意味する。

 その間、一秒足らずで結論を出した俺はセイバーを追うように塀を乗り越えた。飛び越えた瞬間に、激しい金

属音が響く。地面に着地し、前を見る。

 セイバーに向かって魔術が放たれる。限りなく短い詠唱で、最大限の攻撃力を持たせている。こんなもの、ま

ともに喰らえば即死する……!

 が、それは相手が人間魔術師である場合だけだ。サーヴァントにはそれぞれクラス別の能力が存在する。それは無論、

魔術師が持ちうる対魔力も含まれる。しかしあれだけの威力だ、あの距離では確実に命中しセイバーは少なから

ずダメージを負う事は免れない……



「その程度の魔術、避けるまでもない……!」



 影……遠坂から放たれた魔術は、セイバーへと届く前に全て霧散してしまった。

 馬鹿な……あの魔術が全て無効化された……!? 少なくとも、今のは詠唱が第三節以上の魔術。それを第一シングル

工程アクションで放ったとはいえ、威力は小さな家一つぐらいなら破壊出来るほどある。それを、掠り傷を負うどころか

無傷……? どんな対魔力を備えてるんだ、あのセイバーは……!

 驚きで静止する遠坂を、アーチャーが庇う為に前にでる。そのアーチャーを躊躇いも無く斬り伏せようとする

セイバーの姿。俺はそれを止める為に走り出すが、間に合わないのは目に見えているし下手をすれば俺がセイバ

ーの剣で切り裂かれる。

 その不可視の剣で、セイバーはアーチャーを――――



「やめろ、セイバーーーーーーー!!!!」



 ――――斬り裂こうとする瞬間、止められる筈の無いセイバーの攻撃はアーチャーのあと数ミリと言う所で停

止する。

 その隙をアーチャーが逃すわけがなく、マスターである遠坂を腕に抱き、即座に自分とって有利な距離まで間

合いを離した。



「何をするのですシロウ! 今なら確実にアーチャーを屠れた。それを、貴重な令呪を一つ使ってまで止めると

は……!」



 令呪……? なるほど、サーヴァントに対する三つの絶対命令権。それを使えば本来、止められる筈がなかっ

たセイバーの攻撃も止められた訳か。



「マスター、指示の撤回を。今なら弓兵如き一刀両断できます」



 さりげに酷いな、セイバー。そりゃあ、白兵戦に持ち込めばセイバーが有利なのは当然の事だけど……訊き様

によってはアーチャーが弱いって言ってるようなものだぞ。



「だから止めろ! お前が襲おうとしてる奴は俺の知り合いなんだ。そいつを襲わせるなんて出来ない」



 温厚な士郎がここまで怒っているのを見るのは初めてだ。マスターである士郎の言葉を訊いたセイバーは一瞬

驚いたような表情を見せる。しかし、すぐに信じられないと表情を変え士郎を責め立てていく。



「何を言うのです。彼女はアーチャーのマスターだ。私たちの敵なのですから、ここで仕留めておかなければ」



 それは、ごく一般的な考えでありごく自然な考えでありごく当然の考えである。だけど、そんな物で士郎の返

答が覆るわけも無い。このままだと平行線を辿る一方だ。

 そろそろ、この会話に幕を引くべきだと思う。



「……それが例え、マスターの命を救った恩人であってもか?」



 溜息をつきながら俺は会心の一撃を放つ。もし、セイバーに忠義心とか騎士道精神等を持っているのならば、

かなりの高確率で反応する筈。そして俺のその予想は覆ることなく、セイバーは驚きの表情を浮かべた。



「祐一、遠坂が俺の命の恩人ってどういう事だ?」



 唯一、状況を飲み込めていない士郎が疑問を口にする。自分の命を救ったのが、目の前にいる遠坂だっていう

のを知らないのだから、当然か。



「あぁ、それは――」



 その時の事を説明しようと俺が口を開きかけるが、それを遮るように遠坂が言葉を紡ぐ。



「相沢君、余計な事は言わないで」



 敵意すら滲ませた遠坂の言葉を聞き、何そんなにムキになってるんだかと心の中で嘆息する。多分、魔術師で

ある遠坂の感情が情をかけた事に対して、納得いかない部分があるのだろう。

 だけど、こんな事を口に出せば遠坂が激昂するか静かに怒り狂うかしかない。どちらも同じだという意見は却

下だ。



「今晩は、衛宮君。元気そうで何よりね」



 物凄く極上な笑顔で士郎に話しかける遠坂。今までの事が何でもなかったように話しかけてくる遠坂に、士郎

は固まる。しかし、すぐに凍結が解け遠坂に食って掛かる。



「こ、今晩はって……いや、元気には元気だけど、今はそんな場合じゃなくて! でも、何で遠坂がここに……

!?」



 見事に混乱している。見てる方が哀れに思えてくるほどの錯乱ぶりで、お兄さん少し目頭が熱くなってきた。



「それは私も貴方と同じマスターだからよ。お互い、魔術師なんだから隠す必要は――」



「と、遠坂も魔術師だったのかっ!?」



 遠坂の言葉は、士郎の叫びによって掻き消される。『も』って事は、自分の身近に……しかもそれが友人であ

り、学校のアイドルとも言うべき人物が二人揃って魔術師だと告白されれば、驚くのも無理はない。魔力感知す

ら出来ない士郎なら、尚の事だろう。



「……そう。納得いったわ、ようするにそういうワケね、貴方」



 あ〜あ、何か不機嫌モードだよ遠坂。両腕を胸の前で組んで、士郎を睨みつけるように立つ。その視線を受け

て、士郎がたじろぐ。



「アーチャー。悪いけどしばらく霊体化しててもらえる? 私、ちょっと頭にきたから」



「それは構わないが……、頭にきたとはどう言う意味だ?」



 眉根を寄せて、アーチャーは遠坂に質問する。既にアーチャーからは、敵意や殺気という戦闘意識は消えさっ

ている。戦う意志は既にない、という表れだろうか。



「言葉通りよ」



 貴様は香里か、とつい口を滑りそうになった。一語一句違わず、香里の台詞を放つ遠坂の姿が香里とダブる。

キャラが似ているだけに、ほとんど違和感がないのが怖い。

 だからこそ、遠坂と香里の二人は仲が良いのかもしれないと思う。同族嫌悪という言葉があるが、同類、相憐

れむという言葉もある。少し意味合いが違うが、似たようなものだろう。



「腹いせに現状を突きつけてやろうと思ってるだけよ。ほら、さっさと霊体化してなさい。じゃないと、セイバ

ーがいつまでも構えを解かないでしょ」



 いや、本当。アーチャーの奴が不憫でならん。お兄さんの目頭の熱さがさらに上がったような気がする。少し

天を仰ぎ、涙が零れないように我慢。



「……ふぅ。まったく、君のやろうとしている事は余分な事だぞ」



 己のマスターに不満をぶつけ、アーチャーはゆっくりと霊体化し消えていく。それを見届け、固まっていたセ

イバーも構えを解いて剣を収める。と言っても、視えない剣を収めたのかどうかなど判別不能ではあるが。



「うぇ!? き、消えた……!」



 何も知らない士郎から見れば、いきなり知り合いの横に立っていた男が煙のように消えてしまったと思うだろ

う。実際は、遠坂の後ろにいる半透明でいるだけだ。

 幽霊……と、士郎が小さく呟く。この子……阿呆だわ。



「そんな事より、中に入りましょ。自分が今、どんな状況にいるのか嫌でも教えてあげるから」



 こっちをとても『迫力のある』笑顔で見る遠坂。やめい、怒りのオーラを纏った香里を思い出す。それぞれの

思惑を無視し、遠坂は衛宮家の門へと歩き出す。



「え―――待て遠坂、なに考えてんだお前……!」



 我に返った士郎は、自分の家に入り込もうとする遠坂の姿を認め、焦る。家主に無断で家に入るなど、住居不

法侵入もいい所だが今は状況が状況だ。



「士郎、遠坂は親切でお前に何が起こっているのか教えてくれようとしてるんだ、素直に訊いとけ」



 ぽかん、と士郎の頭を叩く。後頭部をいきなり軽く叩かれた士郎は、事の元凶である俺を睨む。

 しかし、遠坂が説明してくれるならありがたい。正直、俺も全部を全部知っている訳じゃない。何より、遠坂

が説明するのならば俺はいなくても構わない。今すぐにでも家に帰って寝たい。



「説明する手間が省けるな。セイバー、それでもいいか?」



 先程から黙りこくったままのセイバーへと振り返る。相変わらずの無表情で、



「……シロウがそれで良いなら私には文句はありません」



 と、答える。しかし、えらく忠義心が厚いなこのセイバーは。俺のランサーも割と忠義心が高いとは思うが、

それに輪をかけたみたいに見える。

 サーヴァントの鑑……とでも言おうか。



「だとよ、どうする?」



 肩を竦めて士郎に訊く。納得したのか、諦めたのか、士郎も遠坂を追うように渋々家の中へ入っていく。それ

に続くのはセイバー。そして俺は外に取り残される。

 ……さて、三十六系逃げるに如かず。さっさとこの場をおさらばしますかっ。



「あ、そうそう。逃げようなんて思わない事ね。死にたくないなら」



 さぁ、いざ出発家に帰ろうと意気揚々に走り出そうとした時に、背後から遠坂のドスが効いた猫撫で声が聞こ

えてくる。

 背筋に嫌な悪寒と寒気、汗が流れる。それに負けた俺には選択肢が残されず。



「……うぃ」



 ごめんなさい。不肖相沢祐一、衛宮家前にて捕獲されました。






 ……損壊した居間の家具、障子、窓ガラスなどは遠坂の魔術で修復された。それを見た士郎は純粋に驚き、感

心して礼をした。

 こんな初歩的な事、士郎でも出来るだろうと遠坂が言ったのだが、馬鹿正直にも士郎は自分の使える魔術が強

化だけだと告白し、何でこんな半人前にセイバーが取られたのよという遠坂の八つ当たり気味の怒りを受ける事

になる。いと哀れ、士郎。



「それじゃ話を始めるけど。衛宮君、自分がどんな立場にいるか判ってないでしょ」



 完全に修復された衛宮家の居間の中心、炬燵に脚を突っ込みながら遠坂は話を始める。かく言う俺と士郎も炬

燵に脚を突っ込んでいる。だって寒いし。

 遠坂のその問いにこくん、と頷く士郎君。



「……はぁ」



 溜息。そして遠坂は士郎にゆっくりと今何が起こっているのか、自分を襲った奴と突然現れた少女は何者であ

るのか、左手に現れたこの痣はなんであるのか、そして聖杯戦争についての情報を全て教えた。

 かなり紆余曲折したが、士郎も大体の状況は飲み込めた様子。途中、士郎の顔色が青くなり少し焦ったが何で

もないようで安心した。



「さて、衛宮君への説明はこれくらいでいいわね」



 首の骨を鳴らしながら、あーっと肩を揉む学校のアイドル。妙に親父臭い、と思ったのは決して俺だけではあ

るまい。士郎は士郎で、学校のアイドルである遠坂の本性を知り目が虚ろになりかけている。理想とは、時には

残酷な現実を突きつけるものだ。



「さぁ、相沢君。次は貴方の番よ」



 びしっと人差し指を俺に突きつけてくる遠坂。人に指を向けるのは行儀が悪いんだぞ、いっちょ前のじょしこ

ーせいがはしたない。

 ……等と、色々現実逃避しても意味はないわけで。



「ん? 遠坂、祐一が何なんだ?」



「あのね、さっきの貴方の話を訊く限り、相沢君はサーヴァントと互角に渡り合ったって言うじゃない。そんな

事、普通の人間が出来るわけ無いでしょ」



 ま、まぁ、確かに。例えるなら、戦闘機に刀一本で挑むみたいなものだからな。サーヴァント……英霊という

のは一種の戦闘兵器だ。俺達人間を戦車に例えるならば、英霊は核ミサイル。出力は勿論威力も性能も段違いす

ぎる。



「凛の言う通りだ。だが、貴様はランサーの攻撃を退け数合とはいえ私の攻撃すらも防ぎきった」



 敵意を剥き出しにしてくるアーチャー。その言葉に驚くのは、遠坂。自分のサーヴァントとも戦っていたとは

思わなかったみたいだ。目を丸くしている。



「勘違いするなよ、俺だって人間だ。ただ単に、戦闘能力が高いだけで英霊に敵うわけない。防御や回避に徹す

るだけならまだしも、攻撃にまで転じて勝てる訳じゃない」



 これは本当の事だ。ただ、確実に負ける訳ではなく勝てる見込みが限りなく零に近いだけの事。逃げるだけな

らば、自分の持てる限りの力を出し惜しみなく使い切ればほぼ確実に逃走可能だ。

 以前、俺を本気で追撃してきた真祖の姫――アルクェイドから完全に逃げ切った事がある為それは証明出来る。

世界創造の時から存在したらしい真祖の吸血鬼。その全ての能力において、英霊と同等……もしくはそれ以上の

ポテンシャルを秘めていると言う。

 そのアルクェイドの本気から逃げ切ったのだ、英霊から逃げる事も可能の筈。



「まぁ、それはいいわ。で、結局貴方何者?」



 アーチャーを、何でそんな大事な事黙ってたのよって感じで睨みつけていた遠坂が、溜息をついてアーチャー

から視線を外して俺を見る。

 士郎とセイバーからの視線も俺に突き刺さってきた。安易に自分達も知りたい、という催促の視線がありあり

と俺に伝わってくる。



「……一応、名前だけの魔術師さ。士郎は強化しか使えないって言ったけど、俺はその強化すら出来ない魔術師

まがいの人間だよ」



 諦めの中に苦笑すら込めた俺の言葉に、静かに士郎が息を呑む。



「そう、相沢君は衛宮君よりも魔術師として劣るわ。でも、戦闘能力だけならば異常なほど高い能力を持つ人間

よ。で、さっさと正体言いなさい」



 気が短いのか、遠坂の口調が質問から詰問へと変化していく。段々と、遠坂の姿が香里へと変化していくのは

きっと幻だ。キャラが被ってるからそう見えるだけだ。



「……闇に紛れ、魔を狩り、光を浴びる事のない退魔の一族、七夜の生き残り。それが俺だ」



 相沢祐一は魔術師であり、退魔師でもある。どちらかと言えば、退魔師よりの人間だ。魔術師は自らの魔術で

戦うが、退魔師は自らの肉体のみで戦う。きっと、七夜の血が俺の中に濃く流れているから魔術師としての血が

薄くなってしまったのだと思う。



「七夜……!? でも、七夜はかなり前に滅んだって聞いたけど」



 ほぉ、魔術師である遠坂が七夜の一族の事を知ってるとは思わなかった。それほど有名だったのかそれとも遠

坂が勤勉であったのか、どちらにせよ説明する手間が省けて助かる。



「七夜って何だ?」



 …………そうだ、士郎がいたんだった。無知の化身とも言うべき、衛宮家最終兵器。聖杯戦争の事も知らない

のならば、当然七夜の事も知っている訳がない。



「七夜って言うのは退魔師の一族の事だ。俺の親父が魔術師の家系の相沢に婿養子みたいな形で母さんと結婚し

た。それが、七夜の滅ぶ少し前だったらしい」



 詳しくは訊いた事がないから、俺も知らない。七夜の最後は、全てを思い出した志貴に訊いて真相を知った。

そして親父と志貴、俺の三人で『七夜の森』へと赴いて一族の墓を作って魂を鎮めた。

 黄理さん……志貴の父親であるその人は、俺にとっては叔父でもあり第二の父親だ。小さな頃に会ったきりで

あったが、とても怖く優しい人であった事は覚えている。



「ふぅん、それで生き残ったのが相沢君の父親とその息子である貴方だって事。実質、最後の七夜って事になる

のかしら」



 淡々と事実を述べる遠坂だが、瞳には悲しみが映し出されている。しかし、七夜の生き残りは俺だけでなく黄

理さんの息子、志貴が残っている。純粋な七夜の人間を生き残りと呼ぶには、それは親父と志貴だけだろう。



「そういう訳じゃないんだけどな……。で、俺は親父の仕事を手伝って色々と退魔の仕事をしてきた。それこそ、

死徒、死者、魔に落ちた人間を狩る……そういった事をな」



 魔に落ちた人間を狩る、と言った所で士郎が目を見開く。魔に落ちた人間とは、即ち外道に落ちた人間という

事だ。その正体は、闇に全てを委ね魂を穢れさせた人間。

 ――――平たく言えば俺は人殺しでもある、という事でもある。



「なるほどね。死徒狩りをしていれば、そんな戦闘力も身に付くってワケ。本当、とんでも無いわね貴方」



 無論、それだけじゃない。俺には魔眼がある。それも、今まで誰も会得した事がなく存在すらしていなかった

異常な魔眼が。

 俺自身は、その魔眼の事を『空虚の魔眼』と呼んでいる。正式な名称などないのだから、これが正しいとも言

えない。ただ、分かるのはこの魔眼が空間を制御……否、そんな生易しいモノじゃない、空間を操作する系統の

魔眼であると言う事だ。

 ……空間の制御とは魔術であるが、魔術の中で一番魔法に近い系統に入る。空間転移、空間跳躍といった行為

は神代の魔術師達でもおいそれと出来た事ではない。



「尤も、三咲町で色々あったからな……」



 魔眼持ちと言う事は、魔術師としては一流。後天的、先天的にしろ魔眼とは魔術師の中でも憧れに近い魔術な

のだ。それこそ、魔法のような魔眼など持っている魔術師などどこを探してもいない。

 ――――俺を除けば、だが。



「三咲町……って、例の無差別猟奇殺人事件が会った場所ね。ここに来る前にはそこにいたの?」



「あぁ。で、そこで七夜の生き残りの一人と出会い……死徒二十七祖の内、三体と出会った」



 アーチャーと遠坂の表情が変わる。互いに浮かぶ感情は驚きと否定。



「待ちなさいっ、二十七祖って死徒の中でも最強の部類に入る奴らじゃない! 一体、誰よ? 白翼公……は違

うわね、黒の姫君……も違う。まさか、大師父? それこそまさかだわ」



 ぶつぶつと独り言のように遠坂の姿が恐ろしい。士郎も何か不気味なものでも見るように遠坂の姿を見つめて

いる。先程からセイバーが黙ったままであるが、理解だけはしているようだ。聖杯からの情報に入っていたのだ

ろうか?

 しかし、遠坂の言う大師父――――キシュア・ゼルレッチ・シュバインオーグとは残念ながら顔見知りの仲だ。

あと一人、志貴の先生――蒼崎青子ともである。こんな事、知られれば消されかねん。いや、マジで。



「……ネロ・カオス、ミハイル・ロア・バルダムヨォン、ワラキアの夜」



 へ、と遠坂が奇妙な声を上げる。突然俺の口から紡がれた暗号めいた台詞に、思考が回りきらなかったらしい。



「俺が出会った死徒だよ。十番、十三番、番外の三体」



 他にも会った事はあるが、口には出さない。薮蛇になる危険性が大だし、火に油どころか核燃料を放り込む事

になりかねない。



「……混沌、アカシャの蛇、タタリ。全部古参の死徒で、しかもかなり力の強い奴らじゃない。良く逃げ切れた

わね」



「逃げたわけじゃなくて、戦って倒したんだよ。その三体共、完全に消滅。ロアは転生する間もなく、ネロとワ

ラキアもその概念そのものを滅された」



 ―――志貴の持つ、存在しているものならば神でさえ殺せる最強の魔眼『直死の魔眼』によって。



「はぁっ!? 概念を滅ぼすって、そんな事出来るワケ……」



「七夜の生き残りであるそいつが、『直死の魔眼』……バロールの劣化魔眼を持ってるんだよ」



 今度こそ、遠坂が呆然と固まる。俺を見るアーチャーとセイバーの視線にも、驚きが込められている。話につ

いていけない士郎が、続けてくれと先を促す。



「後、俺も魔眼を持ってる。魔眼だけを持ってるの魔術師と言うなら、俺は魔術師だろうな」



 俺の一言に、遠坂の意識が帰ってくる。



「貴方も魔眼を……? まったく、七夜の人間って揃いも揃って化け物だらけなの?」



 怒ると思われたが、遠坂は呆れたような疲れたようなそんな溜息をつく。こんな魔術師もどきの俺が魔眼を持

っている……下手をすれば目を抉り出されかねないとさえ思っていたが、意外な反応だ。

 いや、もしかすればさほど強力な魔眼ではないと思っているのかもしれない。実際は、志貴の持つ『直死の魔

眼』並に異常なモノである。



「だけど、皮肉なのか……親子二代揃って聖杯戦争に関わるなんてな」



 その言葉に反応するのは四人。中でも、遠坂とアーチャーの反応が一番大きかった。遠坂は分かるとしても、

アーチャーは何でだろう。

 関係ない筈なのに。



「じゃあ、相沢君のお母さんが前回の聖杯戦争参加者だったの?」



「あぁ、そうだ。マスターになって聖杯戦争に参加した母さんは、結局死んじまったけどな」



 十年も前の話だ。今更、といった感じだがそれでも思い出すと少し感傷を覚えてしまうのは仕方ない事だと思

う。あの時はまだ本当に子供で、突然いつも一緒にいた母親が消えてしまい不安で不意に思い出してしまうと、

泣き出してしまうこともあった。

 だがそれも、時が経つにつれて慣れていきただ少し寂寥感を覚えるだけに留まっている。もし今生きていれば、

どうしていただろうか。



「で、どうするんだ? ランサーが言うにはセイバーで七人目だそうだから、これで聖杯戦争が始まる事になっ

たようだが」



 尤も、俺のランサーがいるから既に規定の聖杯戦争ではなくなっているようである。

 ……そうだ、ランサーに確認するべき事がある。一体、この聖杯戦争がどうなってしまっているのか。そして

お前が何者なのかと言う事を。



「その事だけど、新都の外れにある教会に行くわよ。そこの監督役に聖杯戦争についての詳しい説明を受けても

らおうと思うの」



 人差し指を軽く立てながら、遠坂がこれからの行動を提案する。ふむ、士郎の為にもその方が無難かもしれな

いな。ランサー……ややこしいな、さっきのランサーとこんがらがる。今だけオーディンって呼ぶか。オーディ

ンへの連絡は、落ち着いてからにするべきだろう。

 ……あ。秋子さんや名雪達に連絡の一つもいれてない。やばい、相当やばいですよ?



「……祐一、冷や汗か脂汗みたいなのかいてるぞ?」



 士郎の言葉で、四人が俺を見つめてくる。しかし、俺はそれを気にする余裕がない。

 秋子さんは優しいが、家に帰るのが遅れる時には電話を入れる事を俺達に義務付けている。それをしなければ

……オレンヂ色の制裁が待っているのだ。

 嫌だ、ジャムだけは嫌だ。ジャムは嫌だが、こればっかりは仕方ないことだと思う。理由を話せば、秋子さん

だって分かってくれるだろう。



「あ、あぁ。大丈夫。それよか、教会に行くんだろ? なら、さっさと行こうぜ」



 もう時間は一時を回っている。今の時間に電話をかけるのは非常識だし、迷惑だろう。早い所やる事を済ませ

て帰った方が良さそうだ。



「そうね。じゃ、行きましょう」



 遠坂の先導で、俺達はその聖杯戦争の管理を任されているという神父のいる教会への道のりを歩き始めた。



 
[interlude3−2]



 前を歩く凛、士郎、セイバー、そして祐一を見やり霊体化している凛のサーヴァント、アーチャーは眉根を寄

せる。



(どういう事だ?)



 目の前で起こっている状況に、彼は困惑を覚えていた。いや、この困惑は既に衛宮士郎が学校で殺され『彼』

に出会った時、既に発現していたのだ。



(相沢祐一……私の生きた世界では存在していなかった人物。ここは私が生きた世界と少し違う世界……平行世

界の一つか)



 三人の少し後ろを無言で歩く祐一。その姿にはまるでと言って良いほど隙が無い。

 今、ここでアーチャーが突然襲い掛かっても、即座に反応し反撃するだろう。それは、既に学校にて体験済み

だ。英霊である彼の攻撃を余裕ではないといえ、正確に間合い、射程、攻撃位置を計算して防御反撃をしていた

のだから。



(……まぁ、さして問題はあるまい。衛宮士郎の抹殺という目的は、既に私の選択からは消え去っているのだし

な)



 それは彼―――英霊エミヤの名を持つ者としての、心からの本心だった。

 彼は自身の理想である『正義の味方』という目的を果たすべく、日々戦い続けた。だが、彼はその度に自身が

助けた者に裏切られ、悪として退けられた者達からも恨まれ続ける。いつしか、彼の精神は戦場で戦っていく度

に磨耗していった。

 果たして、彼は世界と契約した。英霊になった後、自身の歪んだ理想の大元である自分自身……即ち、聖杯戦

争のマスターとして参加した時代の衛宮士郎を殺す事を望んだ。そして、この世界とは別の平行世界に呼び出さ

れる。

 しかし、彼はその世界で自らが失った『答え』をその世界の衛宮士郎から見出し、自らが信じた理想をその衛

宮士郎へと託し、英霊の座に戻った。故に、彼には目的等と言うモノが存在しない。




 しかし何故、彼に聖杯戦争を経験した時の記憶が残っているのか? 本来、聖杯戦争のサーヴァントないし、

守護者ガーディアン』として呼び出された後、英霊の座へと戻されればその時の記憶などなくなる。




 その理由は彼の契約時の条件の一つである。英霊として座に存在し、世界の危機が訪れ召還される又は、聖杯

戦争のサーヴァントとして召還され座へと戻った後の記憶を消去しないで欲しいという条件で、彼は世界と契約

をした。



(この世界で『俺』は、『正義の味方』になれるのだろうか……いや、今の私は『掃除屋』だったな)



 自問自答をし、自嘲の笑みを零す。しかし、脳裏にもう自分を許してあげなさいと言ってくれた赤い少女の姿

が蘇り、彼は今の自分の言動はその少女を侮辱する事に等しいと思い直す。

 彼は聖杯には興味が無い。彼の叶えるべき願いなどありはしないし、この聖杯戦争の『全容』を知っている彼

は、聖杯が既に穢れている事に気付いている。あれがもたらすのは、無限の破壊と絶望。そして恐怖、苦痛でし

かない。



(目的が一つ、出来たか……)



 穢れてしまった聖杯の破壊。まさか、三度もこの聖杯戦争に関わるとは思いもしなかった。衛宮という姓は、

聖杯と何か深い因縁でもあるのだろうか。



(聖杯を破壊しようと、それはこの世界での行動に過ぎん。他の平行世界には聖杯が存在しつづける)



 それは凛に言わせれば、心の贅肉と言う奴だろう。決して終わることはなく、メビウスの輪のように延々と続

いていく。しかし、彼にとってはそんな事は些細な事であった。



(それでも構わぬ。召還されれば、私は何度でも聖杯を破壊してやろう)



 新たな決意を胸に、アーチャーは改めてまた己のマスターとなる凛を見やる。



(凛……また、よろしく頼む)



 優しく、暖かい眼差しを己がマスターに向け、アーチャーは心の底から静かに笑う。それは、彼が『衛宮士郎』

であった時の笑顔であり、平行世界で己の答えを見つけた時に浮かべたいつかの少年のような笑顔であった。



[interlude out]


第一幕 終了




ステータス表が更新されました。


CLASS   アーチャー
マスター   遠坂凛
真名   エミヤ
性別   男
身長・体重   187cm  78kg
属性   中庸・善


筋力  D    魔力  B
耐久  C    幸運  E
敏捷  C    宝具  ??

クラス別能力
対魔力  D  第一工程シングルアクションによる魔術行使を無効化する。
        魔力避けのアミュレット程度の対魔力。

単独行動 B  マスター不在でも現界できる能力。ランクBだと二日間は現界可能。

保有スキル
千里眼  C  視力の良さ。遠方の標的の細く、動体視力の向上。さらに高ランク
        では、透視・未来視さえ可能とする。

魔術   C− オーソドックスな魔術を習得。得意なカテゴリーは不明。

心眼(真)B  修行・鍛錬によって培った洞察力。窮地において、自身の状況と敵
        の能力を冷静に把握、その場で残された活路を導き出す“戦闘倫理”

宝具
不明
        


後書きと言う名の座談会


祐樹「ふぅ、やっと第一幕の改訂作業終わった……」


桜「お疲れ様です」


祐樹「おぉ、凛の次は桜か。遠坂姉妹連続登場、ってとこか」


桜「……でも、私の出番第一幕にはなかったです」


祐樹「この作品のメインヒロインは桜、お前だぞ?」


桜「えっ!? 私、相沢先輩の彼女になるんですか!?」


祐樹「違ぇ。この作品の主人公は祐一であり士郎なんだ。よって、相手は士郎」


桜「……せんぱいが、わたしのこいびと」


祐樹「うむ。満足か?」


桜「……やぁん、せんぱいってばえっちですっ!」


桜の影から触手が飛び出し祐樹に取り付く。


祐樹「ひぃ!? 『この世の全ての悪アンリ・マユ』の触手がぁぁぁ!」


桜「あ、だめです。そんなひとがみてます……っ」


祐樹「さ、桜様……お願いですからこの影取って!」


桜「で、でもわたしせんぱいのためなら……///


祐樹「あ、あふぅ……かゆ、うま……」


混沌と化した為、座談会強制終了。

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