3.



(教室……?)


 何か、ずっとここにいろと? はっ、冗談言うな。一発で怪しまれる上に警備員のおじさんに職

務質問された上、いらぬ嫌疑をかけられてしまうわ。

 でも、別にこの教室じゃなくても問題ないよな……? 例えば、使われていない空き教室とかに

入って鍵掛けていればばれないだろう。


(ふっ、たかが一学校の鍵なんぞ俺にかかれば朝飯前だ)


 自慢ではないが、ピッキング能力には自信がある。これも一つの技術だからな。まぁ、これを泥

棒の技術とかに使う気は毛頭ないが。

 教室を出て、壁にもたれながら空き教室かあまり使われていない場所を検索してみる。生徒会室

や、移動教室で使われる場所は全て却下だ。だとすれば……この階にある空き教室しかないか。

 下校する生徒に紛れるように、俺は一旦下の階へと降りていく。その途中で、北川と遭遇した。

北川は士郎のクラスメイトであり、3−Aの対虎の子用最終兵器でもあるらしい。


「お、相沢。何してるんだ?」


「いや、ちょっと散歩。まだ帰る気にもならないしな」


 迷子か、等と戯けた事をほざいた北川に修正を与える。失敬な、初めて来た場所やあまり覚えて

いない場所ならともかく、自分の学校の中や街の地理ならちゃんと覚えてるっての。


「冗談だって。ならさ、一緒にゲーセンでも行かないか。音ゲーやろうぜ」


 いつもなら、迷わず北川に付き合っていただろう。でも、今はそんな状況じゃない上に北川を命

の危険がある戦いに巻き込む訳にはいかない。


「いや、今日は生憎と持ち合わせがなくてな。後、北川に借りても返す当てがない」


 苦笑しながらそう答える。友人に嘘を吐く、というのは心苦しいが今は緊急事態と変わりない。

ポーカーフェイスで心の内を隠し、表面上はいつもと変わりないように装う。


「そっか、残念だな。斉藤の奴も用事があるらしいし、今日は真っ直ぐ帰るか……」


 それなりに交友関係が広い北川だ、遊ぶ相手にも不自由しないらしいが今日ばかりはそうも行か

ないらしい。それに、最近街を賑わせている事件の事も知っているのだろう、普通に帰るようだ。

 北川と別れて、俺は適当に校内をうろつく。生徒の数がまばらになってきたのを見計らい、二階

へと向かう。








 やはり、巷を騒がせている物騒なニュースのせいで、今の学校内に残ろうとする生徒はいないら

しい。例外は部活動をしている生徒や、教師陣だけだろう。


「む、相沢か」


 ……どうやら、その例外に一つ追加しなければいけないらしい。生徒会の仕事をする為に残った

奴……しかも会長ご本人だ。


「何やってるんだ、柳洞」


「それはこちらの台詞だ。既にほとんどの生徒は下校しておるというのに、貴様は何をしている」


 半目でこちらを睨んでくる柳洞。腕の脇には、書類の束が挟まれている。各教室に配備されてい

る備品や、必要な物を記している物のようだ。

 ……まめな奴だなぁ。久瀬も同じことをしていたのかと思うと、生徒会になんて入らない方が無

難だなと再認識させられる。


「少し用事があるだけでな、すぐに帰るさ。柳洞こそ、最近は物騒なんだからもう帰った方がいい

ぞ」


「分かっておる。これを職員室に持って行けば、すぐに帰るつもりだ」


 お前も早く帰れよ、と柳洞は去っていく。生憎とその忠告は受けれないが、一応心の中で感謝だ

けをしておき、目的の場所へと移動する。

 その目的の場所まで到着し、周りに人がいない……来る気配がない事を確認してから、気配を殺

し鍵穴へと近付く。袖からピッキング用品を取り出し差し込もうとした時、中から小さい物音が聞

こえた。


(誰か、いる……?)


 どうやら、誰か先客がいるらしい。鍵も良く見れば開いている。恐る恐る扉の取っ手に手を掛け、

タイミングを見計らって一気に戸を引き開けた。

 バンッ、と言う軽快な音が響き、中にいる人間の姿が俺の目に映る。


『あ』


「う」


 ……なんと、今のご時世に教室で密会するカップルがいるとは。しかも中にいたのは去年のクラ

スメイトの斉藤。その斉藤に抱きついているいるのは見知らぬ女生徒。

 斉藤、彼女いたのか。それと、北川が用事があるって言っていたが、この事だったとは。


「あ、相沢!? な、何でここに!?」


 突然の訪問者である俺の登場に、驚きを隠せない様子の斉藤。抱きついている女の子は、顔を真

っ赤にして斉藤の胸に顔を埋めている。どちらにせよ、俺はかなり邪魔者であり迷惑だろう。


「い、いや。邪魔して悪かったな。好きなだけいちゃいちゃしててくれ」


 ガラ、とドアを閉める。………うわ、顔が熱い。

 扉を閉めた中から、何やらくちゅくちゅと卑猥な音が聞こえてくる。こ、ここは立ち去った方が

いいよな。斉藤、好きなだけ彼女との逢瀬を楽しんでくれ。今見た事は忘れるから。


「さ、流石に教室は無理か。だったら……体育館か」


 ピンク色の雰囲気が漂う教室を後にし、俺は体育館へと向かった。うぅ……やばい、マジで恥ず

かしい……。落ち着け、俺。


つづく





人物情報が更新されました。


フギン・ムニン 年齢不詳 使い魔(烏)
身長・体重 データなし
使用魔術  なし

備考
ランサー・オーディンの使い魔。神話時代から存在し、オーディンの手足となっ
て働いた忠実な使い魔……の筈であるが、フギンが関西弁を喋っている事やムニ
ンが主人のオーディンに反抗的であるのは謎。オーディン本人ですら、知らない
トップシークレット。
フギン・ムニン両匹とも、烏と同じ姿形をしている。見分ける方法は皆無だが、
喋り方と態度で丸分かり。戦闘能力はほとんど持たないが、作られた使い魔程度
ならば簡単に消滅させられる。


北川潤 十八歳 一般人
身長・体重 データなし
使用魔術  なし

備考
一年前の祐一のクラスメイト。今は衛宮士郎、柳洞一成のクラスメイトであり対
虎の子決戦兵器の異名を欲しいままにしている。(本人は知らない)
祐一とは、頻繁に漫才を行う仲であり親友。突っ込みキャラであるが、祐一が絡
むとボケキャラにも突っ込みキャラにも変われる貴重な存在。美坂香里と突っ込
みマスターの名を巡って争い合っている。(本人段)
成績は中ぐらい。彼女なし、サバイバルゲームが趣味。


斉藤喜恒 十八歳 一般人
身長・体重 データなし
使用魔術  なし

備考
一年前の祐一、北川のクラスメイト。だが、親しい間柄ではなくたまに話すクラ
スメイトといった感じ。当時から彼女がおり、今回祐一に彼女との情事を覗かれ
る不憫な人物。
蛇足であるが、彼女の名前は一宮美祢(かずみやみね)。同級生で、幼馴染とい
う間柄。
名前の呼び方は、さいとうのぶつね。




ステータス表が更新されました。


CLASS   ランサー
マスター   相沢祐一
真名   戦神オーディン
性別   男
身長・体重   194cm  76kg
属性   秩序・善


筋力  B    魔力  EX
耐久  B    幸運  B
敏捷  A    宝具  A

クラス別能力
対魔力  B  魔術発動における詠唱が三節以下の魔術を無効化。
        大魔術・儀礼呪法を以ってしても、傷つけるのは困難。

保有スキル
神性   A  神に近い事を示すスキル。オーディンは北欧神話における神で
        あり、その神性適正も最高ランク。

単独行動 EX マスター不在でも現界できる能力。自身の魔力だけで現界する
        事が可能。

ルーン  A  北欧の魔術刻印。ルーンの所持。ありとあらゆるルーン魔術を
        習得。

魔力遮断 ―  自身の身体に流れる魔力を遮断する。魔力遮断を解除するまで、
        サーヴァントならびに魔術師として認識されない。アサシンの
        気配遮断と酷似。

宝具
大神宣言(グングニル)   ランク:A++  種別:対城宝具
レンジ:1〜∞  最大捕捉:1000人

天馬召還(スレイプニル)  ランク:C   種別:召還宝具
レンジ:なし




後書きと言う名の座談会


祐樹「教室に隠れる。斉藤とその彼女の逢瀬が楽しめる」


祐一「阿呆かぁ!」


ザシュウッ!(斬艦刀で斬られる)


祐樹「うげはぁ!?」


祐一「な、何を見せてんだ俺に!」


祐樹「ふっ、初心な奴め。この先微妙な表現の文章が出てくる予定なのだぞ!」


祐一「やめんか!」


祐樹「断る! 俺とて漢だ。際どい文章を書いてみたいと思ったっていいだろう!」


祐一「いや、別に構わんが俺を巻き込むな」


祐樹「無理」


祐一「即答!?」


祐樹「だって俺のSSって主人公お前だし」


祐一「うぅ、俺は逃げられないのか……」


祐樹「諦めろ。では、次章で会いましょう」


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