1.



(弓道場にでも隠れるか……)


 あそこなら、割合場所も広いし気配を消しやすい。下手したら美綴か他の弓道部員に会っちま

うかもしれないけど、気配を消せば何とかなるだろ。


「じゃあね、相沢君」


「おう、三枝さんも気をつけて帰れよ〜」


 蒔寺、氷室達と一緒に帰るらしい三枝さんに別れの挨拶を投げかけられ、それに答えてから教

室を出る。残る人がいないらしく、葛木が施錠をしていた。


「葛木先生、さよなら」


「最近は物騒だからな、気をつけて帰るように」


 一教師として、そして一人間として俺に警告を促して葛木はその場を去っていく。その歩き方

は現代の人間と違い見事なほど完成されていた。

 訓練をしても、あれほどの歩き方になるかどうかなど分からないのに、葛木は自然とその歩き

方を行っている。生まれつきなのか、それとも何か武道を嗜んでいるのか。それを抜きにしても、

理想的な歩き方であり、羨ましくも思える。


(それにしても、葛木からは俺と同じ匂いがするのは何故だ……?)


 魔術師としての匂いではなく、血の匂い。でも、見たところそんな気配はしないんだが……。

それと疑問に思いながら、俺は弓道場へと歩いていく。








 ……今、俺がいるのは何故か弓道場の中。本当は屋根の上か、近くにある雑木林にでも隠れよ

うかと思ったんだが……。


「こら相沢。うちの部員を無視するな」


 また何故か弓道部員の女子達に囲まれているわけである。しかもキャーキャーうるさい。

 何か? 俺は弓道部の新入部員だと思われてるのか? だからって顔触ったり、体触ったり、

頬擦りしたり、服脱がそうとしないでくれ……。

 というか、服を脱がすって何だよ!? 完璧なセクハラだろう、これは!

 脱がされそうになっている服を必死で着込みながら、俺は美綴に絶望的な一言を突きつける。


「美綴。悪いが俺は弓道部には入れんぞ」


「は? いきなり何言ってんだ?」


 呆気に取られつつ、顔を赤くする美綴。

 む、違ったのか? 士郎がどうしても弓道部に戻らないから俺に白羽の矢が立ったのかと思っ

たじゃないか。いや、まぁ、弓道に興味がないかと問われればないとも言い切れないんだが……。


「で、何故俺はここにいる? まさか弓道部の勝利の為の生贄か!?」


 サバトや生贄を捧げなければならないほどこの弓道部は廃れてしまったと言うのか。だとすれ

ば、全力で抵抗し逃走するしかない。


「安心しろ。あんたを捧げたら勝てるもんも勝てなくなるから」


「それは喜んでいいのか?」


 正直、嬉しさ半分悲しさ半分ってところだ。そういやバ○ァリンの半分は優しさで出来ている

らしいが、もう半分はただの薬物だよな。関係ないけど。


「いやな。うちの部員が相沢のファンでさ。会いたい会いたいってうるさいから」


「ファンって…。俺は芸能人じゃないぞ」


 何か、俺は珍獣扱いか。初めて日本にパンダが来たのと同じか。上野動物園のマスコットです

か。賃金いくら? 少しは見物料よこしやがれってんだコノヤロウ。

 お金はいくらあっても困る事はないんだからな。


「つか、俺ちょっと忙しいんだけど。やる事があるから」


 気を抜けば脱がされそうになる服を必死で押さえつける。くっ、女子部員の一人が男子用の弓

道着を持ってきやがった。それを俺に着せるつもりかっ!?


「ん、そうか。悪かった、引き止めたりして。……お前ら! いい加減相沢を解放してやれ!」


 美綴の一喝により、弓道部員の女子達が俺の周りから渋々退く。つ、疲れる……。弓道場に隠

れるのは無理だな……。

 戦う前に精神的疲労が溜まってしまった……。


「はぁ、助かった。じゃあ、俺は行くから」


 乱れた着衣を整えて、俺は板張りの床を歩いて弓道場への出口へと歩いていく。その俺に美綴

から声が掛かる。


「相沢っ! うちの弓道部はいつでもお前の入部を歓迎するぞ!」


 振り向けば、からかうような笑顔の美綴。くそ、この女狐。いつかギャフンと言わせてやる。


「考えとく。美綴、お前のその顔、悪巧みしてる時の香里そっくりだぞ」


 皮肉を言葉に込め、弓道場を後にする。仕方ない、体育館の上にでも隠れるか。


つづく





人物情報が更新されました。


フギン・ムニン 年齢不詳 使い魔(烏)
身長・体重 データなし
使用魔術  なし

備考
ランサー・オーディンの使い魔。神話時代から存在し、オーディンの手足となっ
て働いた忠実な使い魔……の筈であるが、フギンが関西弁を喋っている事やムニ
ンが主人のオーディンに反抗的であるのは謎。オーディン本人ですら、知らない
トップシークレット。
フギン・ムニン両匹とも、烏と同じ姿形をしている。見分ける方法は皆無だが、
喋り方と態度で丸分かり。戦闘能力はほとんど持たないが、作られた使い魔程度
ならば簡単に消滅させられる。




ステータス表が更新されました。


CLASS   ランサー
マスター   相沢祐一
真名   戦神オーディン
性別   男
身長・体重   194cm  76kg
属性   秩序・善


筋力  B    魔力  EX
耐久  B    幸運  B
敏捷  A    宝具  A

クラス別能力
対魔力  B  魔術発動における詠唱が三節以下の魔術を無効化。
        大魔術・儀礼呪法を以ってしても、傷つけるのは困難。

保有スキル
神性   A  神に近い事を示すスキル。オーディンは北欧神話における神で
        あり、その神性適正も最高ランク。

単独行動 EX マスター不在でも現界できる能力。自身の魔力だけで現界する
        事が可能。

ルーン  A  北欧の魔術刻印。ルーンの所持。ありとあらゆるルーン魔術を
        習得。

魔力遮断 ―  自身の身体に流れる魔力を遮断する。魔力遮断を解除するまで、
        サーヴァントならびに魔術師として認識されない。アサシンの
        気配遮断と酷似。

宝具
大神宣言(グングニル)   ランク:A++  種別:対城宝具
レンジ:1〜∞  最大捕捉:1000人

天馬召還(スレイプニル)  ランク:C   種別:召還宝具
レンジ:なし




後書きと言う名の座談会


祐樹「初めての選択肢。流石にFate本編よりかかなり少なくなるけど」


祐一「選択肢毎の内容を書かなきゃならんのは難しいよな」


祐樹「その通り。これが結構骨が折れる」


祐一「弓道場に隠れるを選択した場合、弓道部員に捕まってしまう」


祐樹「たま〜に選択肢があるので、選んでくれい」


祐一「下手すれば……BADENDになってしまうからなー」


祐樹「今度の選択肢はいつになるか分からんが、よろしく!」


SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送