Fate/snow night 雪降る街の幻想曲
序章 聖杯戦争の兆し
唐突だが、俺――相沢祐一は魔術師だ。
それは従妹である水瀬名雪も、その親友である美坂香里も、俺の親友の北川潤も知らぬ事だ。平た
く言えば知り合いに俺が魔術師であることを知っている人物はいない。
俺の叔母、水瀬秋子さんただ一人を除いて。
相沢の家は代々魔術師の家系である。そこの血縁者である秋子さんが知っているのは当然だろう。
秋子さんの姉……即ち、俺の母さんが相沢の跡継ぎとして選ばれ、秋子さんは魔術を教えられずに
育ったからあまり詳しい事は知らないようだが。それでも、母さんから色々と教わっていたらしい
けど。
……少し訂正しよう。正確には俺は『魔術師』ではない。何故なら俺自身、魔術らしい魔術を使う
ことが出来ないからだ。身体に魔術回路も魔力を持っているが何もできない。魔術を行使する者を
『魔術師』と言うのならば、俺は魔術師ではない。
だが、その代わりに俺は父親である相沢獅道に、古くから伝わる退魔の家系……七夜とよばれる退
魔師の一族が使った暗殺術、『七夜暗殺術』を習っていた。そしてある事件の際に俺はある力を手
に入れた。自らの目を媒介とし
第一工程
(
シングルアクション
)
で発動する魔術……魔眼だ。
それでも、俺は自分を魔術師だとは思っていない。魔眼を持つと言う事はは魔術師として一流だと
言われるが、俺には魔眼しかない。俺を表すに相応しい言葉は、『暗殺者』か『退魔師』だろう。
……まぁ、そんな事は些細な事だ。
十年前、母さんが聖杯戦争と呼ばれる七人の魔術師と七騎のサーヴァントによる殺し合いによって
死に、その後父さんは仕事で海外に行くことになり俺は冬木市に住む秋子さんに引き取られた。そ
れが一年前の事。
そしてその僅か二ヶ月の間に、人々から「奇跡」と呼ばれる出来事を体験した。詳しい事は全て省
く。話すとなると相当時間が掛かってしまうからな。
それから今まで日々平穏に過ごしてきた俺だが、その平穏が崩れてしまった。
ここ最近、冬木市を包み込んでいる
魔力
(
マナ
)
が不安定なのだ。そして数日前、学校での授業中左手に痛
みが走ったので袖を捲って見ると、そこにはみみず腫れのような痣ができていた。既に痛みは無い
のだが、不審に思い秋子さんに相談してみた。
「秋子さん、この痣なんでしょう? 見た所、呪いや魔術的な干渉じゃなさそうなんですが」
「……さぁ? でも念の為に包帯を巻いておきしょうか?」
「いえ、別にいいです。対して害はなさそうですし、痛みもありませんから」
俺はその時気付かなかった。その痣こそが、聖杯戦争のマスターである証。サーヴァントを律する
令呪
である事に。
つづく
後書き
神薙 祐樹です。
えっと、ちょっち改訂しました。文章の行整理とか改行位置とかの変更のみで、設定の変更はほと
んどありません。
この作品は、TYPE-MOONさんのFate/stay nightと月姫、KeyさんのKanonとのクロスオーバーです。
Fate、月姫に関してはもろネタバレするのでこれを読む人はFate、月姫のオールコンプをしてから
をお勧めします。
では、準備がよろしければこの先へとお進み下さい。また、後書きで会いましょう。
後書き、終了。
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